アシスタント用の椅子で何か良いモノはないか探していた。KEVIが良いんじゃないかと思い、価格をネットで調べてみても、ぼくが昔使っていた背と座が合板のスィーベルチェアは見つからなかった。やっと見つけたのは50周年記念モデルで価格はなんと246750円だ。残念ながらこれはムリです。今、世界で使われているオフィスチェアのツインキャスターはKEVI社が発明したものだ。

KEVIが発表されたのは1958年で、デザイナーはヨルゲン・ラスムッセン。1958年はドイツの建築家エゴン・アイアーマンも、KEVIとほぼ同仕様の回転椅子を、同年、開催されたブリュッセル万国博覧会のドイツ館のためにデザインしている。現在の製品名は「Ausführung SBG 197」。価格は849,66ユーロ。写真を見る限り、この椅子はツインキャスターは採用していないみたいだ。当時のオリジナルデザイン通りに造られているのだろうか。メーカーはLINEA。日本の家具メーカーのリネアジャパンとは関係ないと思う。フォルムだけなら、個人的にはこのアイアーマンのデザインのほうがKEVIより好きだ。エゴン・アイアーマンの仕事には、成形合板の椅子や籐編みの椅子など、世界のデザインの動きとシンクロしているものが多い。インターネット時代の今より、昔のほうが同時代感や連帯感は強かったのかも知れない。


「Ausführung SBG 197 AR」