床座の時代が長かった日本人の「椅子」は、西欧に比べると歴史が浅いので、椅子のデザインも選び方も、生産者、消費者ともに十分に成熟していないのではないか。そんな類いの話をたまに聞くことがある。確かにそれは間違いないが、それはあくまで小椅子の話。家族団らんのためのソファの歴史に関しては、実はほとんど変わらないということを、アルフレックスジャパン代表の保科正さんにうかがった話で知った。それまで応接のための座だったソファが、家族のためのソファとなったのは、つい50年ほど前のイタリアでのこと。戦後のイタリアの住まいの中で、ダイニングとベッドの間に生まれた「団らん」の場所がソファだった。その寛ぎのスタイルが世界に広がっていったのだと保科さんは話してくれた。ヨーロッパの国々に暮らす人々は、ずっと昔から「ソファ」という家具を使ってきたと思っていた。でも、リラックスするための座面が低いソファは、新しいジャンルの家具の一つなのだ。ということは、ほぼ同じスタートラインに立つ日本からも日本人らしい現代の寛ぎの場(ソファ)が生まれる可能性があるわけだ。そのヒントは「炬燵(こたつ)」。保科さんのお話を記事にまとめたので、下に転載します。