パリのホテル。ラクロワが監修したらしい。
8月はほとんど旅行でスタジオを留守にしていた。
ガールフレンドが8月末で帰国するので、その前にできるだけいろんな都市に行こうと思ったからだ。パリ、ナンシー、ベルリン、ストラスブール、カルフ……クルマでの日帰り旅行もある。ストラスブールとカルフは、毎度お世話になっている久爾子さんとウォルフガングさんご夫妻に連れていっていただいた。アルザスの小さな町にも出かけた。
パリは前回の旅行ではホテルで大失敗したので、今回はいつもより慎重に選ぶ。どうせ泊まるなら土産話になるホテルが良いと思い、予算は少しオーバーするけど、今春オープンしたばかりの「Hotel du Petit Moulin」を予約した。
北マレにあったパリ最古のパン屋を改装した17室のプチィホテル。クリスチャン・ラクロワがデザイン監修というのがウリだ。雑誌「GQ」のウェブサイトでは「看板が出ていない知る人ぞ知る隠れ家ホテル」と書いてあったけど、看板はちゃんとある。
到着すると、ディポジットもとらないしパスポートの提示もなく、いきなり鍵を手渡される。宿泊したのはよく雑誌で紹介されている部屋だった。正直、内装はかなり雑。ラクロワのファッション画の壁紙はプリンター出力したものを貼っているだけだ。家具はおなじみ20世紀名品を多数使っている。すべてがこぢんまりとしていて、サービスもホテルというよりは民宿みたいな感じ。それは貶しているわけではなくて、親戚家族にもてなされるような不思議な心地良さがあった。朝食は予約制で、朝、フロントに電話すると「10分後に」と言われ、少し待って朝食ルームに下りるとパンの袋を抱えて帰ってきたメイドとすれ違う。注文があってから外にパンを買いに行くらしい。そんなところもご愛嬌と言う感じだ。立地も良かった。このホテルの情報を載せたウェブサイトでは「四つ星」と紹介されているところもあるが、実際は「星ナシ」ではないかと思う。この規模で四つ星は無理なのでは。フランスの人気エステ「ANNE SEMONIN」のヴァーベナの香りのする石けんとシャンプーも良かった。
http://www.paris-hotel-petitmoulin.com/ ナンシーのホテルはあまりに酷かったのでここでは書かない。ただしナンシーの街はとても美しくまた行ってみたいと思う。
ベルリンはHotelClub.comで、ベルリンのデザインホテルの急先鋒「Q!」を予約した。
話題のデザインホテルが二人で1泊100ユーロはかなり思い切った値引きではないか。ホテル自体にはまったく期待していなくて、怖い者見たさで予約した感じ。だから最初は2泊だけの予定だった。でも実際に宿泊してみると、ベッドの上にバスタブ(ウェブサイトの写真を参照)という奇妙な設備配置を除けば、個人的には文句のつけようがない真っ当なホテルだった。結局、ベルリン滞在中はずっと「Q!」に宿泊した。朝食はこれまで泊まったホテルの中でいちばん美味しかったし(ただし有料)、地下のスパもきれいで超快適。部屋に置かれたシャンプー、バスジェル、石けんは、ギリシャのナチュラル派コスメ「korres」の製品で、これまたホントに気持ち良い使い心地だった。タオルやシーツも上質のものを使っていると思われる。また泊まりたい。へんてこなインテリアでも構わないという人なら、このホテルはお勧めだ。ただしディスカウント価格ならば……。プロパーの宿泊代は呆れるほど高いらしい。 http://www.pixeltree.de/qhotel/
久しぶりに食事の写真。
朝はアサリご飯とキャベツ、ニンニク、トマトのスープ。キャベツは炒めてから使う。子どもの頃、父親がつくるキャベツのみそ汁がおいしかったのは、煮る前に油で炒めていたからだった。味付けは市販の中華だしだけ。最後にゴマ油を少したらす。温まって目が覚める。
夜はまたキャベツ料理、コンビーフとキャベツのトマトソース煮。簡単でおいしい。芯を抜いたキャベツを丸ごとコンビーフとトマトソースで煮るだけ。ぼくはミートソースをつくるのが面倒なときはコンビーフをよく使う。炒めたタマネギとパセリ、ローズマリーなどを合わせてコンビーフ臭さが抜けるまでトマトソースで炊く。それだけで昔の洋食屋さんの味になる。今日のキャベツ&コンビーフ煮には余り物のパスタを合わせた。スパゲッティは半分に折って使う。キャベツが少し焦げたところもおいしい。葉を一枚ずつ剥がしてナイフで切りながら食べる。一人でキャベツ一玉を食べるのは大変だ。
これから夜の森を散歩。今日も子鹿の鳴き声が聞こえる。