グッドデザイン大賞が決まりましたね。トヨタのiQだそうです。

まだ発売前のクルマ。一般の消費者がまったく実感を持てない、発表だけはされているメディア上だけに存在する「製品」が最終的に残り、まだ発売もされていない、フツーの人は誰も運転したことがないクルマが大賞に選ばれたわけだ。フツーの人は見たことないけど審査員は知っている(公開はしてるけどさ)。これはもうダメだろ。スタートラインが間違えてないか。発売前に受賞なんてバカなことはもう止めてくれ。これが大賞に選ばれて、一般の人々はどう共感すれば良いのだ。つまり今回はグッドデザイン大賞が超タイミング良くトヨタ自動車の新製品PRに使われたわけだ。売り出される前にデザインのプロのお墨付きになったわけで、CMでタレントが「素晴らしい走りだ!」って言うのとは訳が違うからね。

街には走っていない。運転もできない。そんな未知の商品が発売前にいち早く権威付けされたわけ。このクルマの街中での佇まいとか、道路を走っている様子とか、購入した人がどんなふうにこのクルマを使っているかとか、どんな価値や喜びを与えたかとか、そういう視線はグッドデザイン賞には関係ないのかな。想像力だけで判断できるものなのかな。グッドデザイン賞は妄想かよ。しかもCOTYとかじゃないあたりが用意周到じゃないか。クルマの賞にはメーカーの宣撫工作が付き物というイメージが強いので、裏では何が何でも大賞を獲得するためのロビー活動もあったんじゃないかと勘ぐってしまうよ。広告費換算すれば安いものだよな。まあ、多くのプロが認めたのだから、皮肉ではなくて間違いなく画期的なクルマなんだろう。で、ご説ごもっともな言葉が審査員の言葉として並ぶんだろう。でも気分的には「やれやれ」だ。ともかく発売前の製品は審査枠から外したほうが良いと思うな。本当に良いデザインであれば次の年次の受賞でいいじゃないか。そうしないとまた、グッドデザインの審査会や賞が新製品PRにまんまと使われてしまうぞ。それはサービスし過ぎじゃないですかね。グッドデザイン賞大賞の選出過程をウェブサイトでライブ中継していたけど、途中でコメントを求められた三宅一生さんの言葉は、一人で熱くなっていた自分を楽にしてくれました。ホントはもっといろいろ発言したいことがあったのではないだろうか。

トヨタのiQはいろんな賞を受賞するんだろうな。ぼくには関係ないけど。