ずっと仕事していました。寝てる時、以外は。

数週間前、家についての言葉を探すために、たくさんの家を見ようと思い、ぼくは近所でいちばん高い場所に上り、午後の陽に照らされる甍の波を見つめていた。それでも物足りなくて、もっと高いところを目指し、熊野神社の境内を抜けて高層ビルのホテルのラウンジにたどり着き、小さな家がモザイクのように、寄せ合い並んでいる光景を眺めていた。

良い家とは何か。そんなことをずっと考えていたら、釣瓶落としの秋の陽は西の向こうの山陰に急ぎ、薄暗くぼやける街並の、小さな家の窓の一つひとつにあかりが灯りはじめた。