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矢田部邸 [生活雑感]

風邪なのに仕事。朝、カロナールという解熱剤を飲んで少し気分が良くなる。

今日は取材で久しぶりに矢田部英正さんの家にお邪魔した。
矢田部さんのお話はホントに面白い。実体験と実践に基づいているからだろう。住まいは遠藤新が設計した昭和初期の小振りな洋館だ。あちらこちらに痛みがあるのは否めないけど、古い家を愛おしむように暮らす矢田部さんのご家族の生活は、便利な豪華マンションで暮らす人よりも羨ましく思える。古い家を維持していくのは大変だと思うが、他の人には味わえない喜びや楽しみのたくさんあるのではないだろうか。帰りに矢田部さんの庭でとれた柿とブドウをいただく。残念ながら今は体調が悪くて食べられないけど、明日の夕方頃には元気になって、おいしく食べられるようになっているだろう。ぼくは世の中はあまり便利になりすぎないでほしいと思っている。便利グッズはもういらない。少し面倒なくらいが人間にはちょうど良いのではないだろうか。

齋藤孝氏の教育メソッドも元を辿れば矢田部さんの研究に行き着くそうだ。矢田部さんの研究は単なる身体論だけではなく、認知科学や生活科学、東洋思想、哲学、さらには建築やデザイン、美術にまで広がりを見せる。茶人でもある。音楽家が素人には聴き分けられないわずかな音の違いに気づくように、矢田部さんは、ぼくたちが気づかない、人の立ち振る舞いの中の雑音を聴き分けるのだと思う。理想の理想を言えば、デザイナーとは本来はそういう人であってほしいと思う。コスチュームのデザイナーは身体のことをよく理解している人が多いが、工業デザイナーは本当に身体を知っているのか。というような話を昔、誰かから聞いたことがあった。人間工学に基づいたデザイン、と言うけど、人は骨と肉だけでできた構造体ではない。しかも身体は同じモデルが一つとして存在しない多様なものだ。それを平均的身体という誰の身体でもないサイズに押し込めるような量産デザインが多いように思う。人間工学は確かにさまざまな道具を進化させてきた。でも、身体を骨と関節と肉だけでざっくりと捉えられるものではない。実際はもっと複雑で、身体には内臓と血流があり、常に変化があり、同時にさまざまな文化や感覚が埋め込まれている。社会的に解剖すると、医学の解剖とは違う身体が見えてくるのだと思う。そんな視点で人間工学も進化するのではないだろうか(既に進化済みだったらゴメンね)。


椅子と日本人のからだ

椅子と日本人のからだ

  • 作者: 矢田部 英正
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2003/12
  • メディア: 単行本


たたずまいの美学―日本人の身体技法 (中公叢書)

たたずまいの美学―日本人の身体技法 (中公叢書)

  • 作者: 矢田部 英正
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2004/03
  • メディア: 単行本


美しい日本の身体 (ちくま新書 638)

美しい日本の身体 (ちくま新書 638)

  • 作者: 矢田部 英正
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 新書



仕事を終え、また熱っぽくなってきたので無理して病院に行く。お腹の具合もずっと悪い。ここ数日、何も食べられないのだ。熱を計って医師に問診をしてもらい、感冒ではなくて、たぶん細菌性の腸炎ではないかと診断された。つまりは食中り。3日も続いているのはウイルスではなくて細菌が原因だから。金曜日の深夜から急に酷くなったので、夕食がモノが怪しいと言われる。この日の夜はまず、ドイツネタで盛り上がるヘアサロンのboyのイベントがあり、グリルしたソーセージとプレッツエルを食べた。どう考えてもこれが原因ではない。その後で、近くのカフェレストランでモッツアレラとトマトのサラダと蒸し野菜(マズい)を食べた。ん、火を通していないのはモッツアレラくらいだ。これが怪しい。確かに怪しかった。食べた瞬間に、「あ、これは……」と思ったもんな。しばらく忙しかったので体力が落ちていて、季節の変わり目で体調管理も難しくて、それで簡単に感染してしまったのだろう、と医師に言われる。ちなみに同じモノを食べた他の人は大丈夫だった。つまりはぼくの体調の問題である。抗生物質と善玉菌を増やすクスリを処方してもらい帰宅する。やれやれ、よりにもよって食中りで寝込んでしまうとは。医者の帰りに、そろそろ何かを食べてみようと思い、そば屋で鍋焼きうどんを食べる。それから2時間経って、またもやお腹がゴロゴロいい始めた。このタイミングで計ると、やっぱりあのモッツラレラでぼくの胃腸は撃沈してしまったのだろう。

件のカフェレストランの店内は禁煙だった。入り口側の2つのテーブルが埋まっていたのは、そこが喫煙できる席だから。で、同席した二人が喫煙者なのでタバコが吸える席をお願いする。既に深夜だったのでフロアにはお客さんはほとんどもいない。入り口側の喫煙席だけ満席。こちらも喫煙希望なので、ほぼ満席の喫煙コーナーの片隅の二人用の小さなテーブルに3人で座る。お店はガラガラなのに一部分だけぎゅうぎゅう詰めでそこだけ阿片窟状態。なんと言う不自然な状況。他のお客さんがくるまでという条件付きで、店長の判断と裁量で一般のフロア(の入り口側の席)でも喫煙させてあげれば良いのにと思った。「他の客が来たらタバコは吸えません。もしくは移動」で納得して座るなら……。原理原則にこだわって、喫煙は喫煙席だけ、と決めつけるのは、お店の責任者としてあまりに融通が利かないよな。境目なんてあってないようなものだし。それにガラガラなんだからさ。タバコを吸わないぼくですらそう思ったよ。これでいいのか!? ラ◯エム。


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