数日前、最年長のノラネコが交通事故で死んでしまった。ぼくのアパートの前の道路。クルマの下にいて、動き出したクルマに轢かれてしまったのだろう。公園で暮らしていればこんなことにはならなかったと思う。前から住んでいる人によると5歳くらいだろうと言っていた。飼い猫なら老ネコという歳でもないはずだ。でもノラネコの寿命は4年程度と言われている。どうか安らかに眠ってほしい。人間じゃないのに人の浮き世に左右される理不尽な生から解放されて、次は温かい家庭か、そうでなければ人のいない密林や無人島に生まれ寿命をまっとうしてほしい。ごめんなさい。

このネコは、最近はぼくの玄関先まで食事をねだりに来るようになって、夜は玄関に上げていた。明け方にドアを引っ掻いて大騒ぎすることが多くて、そのへんはちょっと困りものだった。缶詰しか食べないネコだったのだが、最後の夜は缶詰の買い置きがなくなっていて、ドライフードをあげたけど食べずにまた外に出かけてしまった。次の日、仕事の帰りにカツオとマグロの缶詰を買って帰宅する途中、路上になにか横たわっているのに気づいて、まさかネコじゃないよな、と思って近づくと、まさにその老ネコの命尽きた姿だった。