中野の古道具屋には時々びっくりするような品物が売られている。フィリップ・スタルクのフォールディングテーブルMickvilleは、南台にあったリサイクルショップで2000円で買った。西新宿寄りの中古オフィス家具屋では、サーリネンの一本脚のサイドテーブルが1万円だった。ちなみに天板は白大理石。スカルパのソファが出たこともあったね。他にも掘り出し物はいろいろあって、そういう意味では、渋谷区や目黒区と違い、中野、杉並はウブなデザイン物がたくさん残っていそうな予感。あ、ちなみにセブンチェアやイームズ夫妻のシェルチェアとか、PHランプは、15年くらい前は、引っ越しシーズンになると十二社通りのマンションの駐車場に捨てられていた。



で、これは数日前の話。お店の主人からは、東京在住の人間には内緒にしておくようにと釘をさされたが、店の名前と所在地は載せないのでカンベンしてほしい。ぼくの事務所からは少し離れるけど、長い長い散歩ルートの途中にある古物商の話だ。ある満月の夜、3駅先のバーで何か飲もうと思って、散歩中の犬が行き交う遊歩道をふらりと歩いていた時のこと。その古物商のウインドー越しに、気になるメタルの椅子が置かれているのが見えた。ん? スタジオ・ジョブっぽいな……と思った。その奥にはシェーズロングの黒い脚が見える。あれはマーティン・バースっぽいな(でもまさかね)。それ以外は景品のグラスとか、謎の茶道具とか、壁掛け時計とか、動きそうもないジュークボックスとか、町の古道具屋さんに置かれているような品々が、ホコリとともに店内を埋め尽くしている。美術品も多い。うむ……それにしても気になるのであった。