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Ecdysis Companion [その他]

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凶暴な西日。風通しが良いのでそんなに暑くはない。集合住宅の中に設けられた中庭のような路地の冷気と、目の前の公園の冷気が仕事場を通り抜ける。緑の効果はスゴいな。ただし夜になると凪の時間がしばらく続き、その頃にはエアコンがないと、椅子に座ったままでも汗が止まらない。

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昨夜、脱皮したのはアブラゼミだった。植木の下に空蝉が二体転がっている。連れで脱皮した蝉がもう一匹いた。脱皮仲間。なんだか羨ましいな。

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子猫は遠慮がないので部屋中で遊び回る。無駄に走るし無駄に跳ねる。この一匹だけが、どこでどうやって生き延びたのだろう。兄弟とは死に別れたのだろうか。近所のノラネコはほとんど避妊手術を終えているので、親がどのネコなのかも分からない。ハニーポップで遊ばれるのは少々困るので、座面にバズオフスプレーを吹きかけた。ミントと柑橘がまざったスーッとする匂い。虫が嫌がる匂いとネコが嫌いな匂いが同じなのはなんだか不思議だ。ドボルザークの「家路」のチャイムが中野区に17時を伝えると、競い合うように公園の木で一斉に蝉が鳴き始めた。

遠き山に日は落ちて/星は空を散りばめぬ
今日の業を成し終えて/心軽く安らえば/風は涼しこの夕べ

昔は日没とともに仕事が終わったんだな。そうえいばドイツはそうだった、と思い出す。せめて休日の夕方くらいは、お城の庭とは言わないまでも、ベランダで冷たい飲み物を飲みながら本でも読みたいものだ。ま、無理だけど。本を読むのはトイレか風呂に入っている時だけだし。開高健の「耳の物語」を読み終えてから、久しぶりにフォークナー短編集を読む。新潮文庫のフォークナーは文字が超小さい。一話読むと疲労困憊だ。そしてまた仕事に戻る。この街では、本を読んで、あまり役に立たない仕事をして、食べて寝て、歳を重ねていく。本を読む以外はノラネコと一緒だな。

仕事をしていると入り口でネコが「みゃー」と鳴く。それを真似して「みゃー」と言うと、またネコが「みゃー」と鳴く。それを何度も繰り返しているうちに、ネコの声が何だか変だなと思って、チラリと外を見ると、既に馴染みのネコの姿はなく、「みゃー」と声を出していたのは通りすがりのオバさんだった。たぶんネコと会話しようと試みていたんだろう。ぼくは途中からこのオバさんの「みゃー」に返事をしていたのか。外からぼくの机は見えないので、オバさんが立ち去るまでじっとしていた。そういえば昨日、打ち合わせの帰り道、自転車に乗ってアパートの帰宅したいかついオッサンが、アパートのドアを開けるなり「みーちゃん! おまたせしました。にゃ〜」と言っているのを見て、ネコは魔法を使うのではないかと思った。



フォークナー短編集 (新潮文庫)

フォークナー短編集 (新潮文庫)

  • 作者: フォークナー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1955/12
  • メディア: 文庫



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コメント 3

ぐー

最近の日記を拝見していて
カテゴリーに「ネコ」を追加して欲しい、
と思いました。
手前勝手ですみません。

by ぐー (2008-08-04 11:28) 

橋場一男

ぐーさん、どうも。こんにちは。
ネコといってもノラネコですからね。ノラネコとの友情ははかないもので、そのうち書くことがなくなるかも知れないので。ウチの近所のノラネコは痩せてる子がいなくて、どちらかというと豊満気味で、昼寝がちで、イマイチ、ストレイキャッツのロックンロールな緊張感がないのです。みんな仲良しだし。
by 橋場一男 (2008-08-05 05:41) 

ぐー

賃貸住まい者にとって、
遊んでくれるノラネコはウェルカムです。
素直にうらやましいです。
たとえ三六版のテーブルがあっても味気ないです、我が家。
ノートPCとプリンターとファックス、、、
ここにネコの寝姿があれば、、、
by ぐー (2008-08-05 23:08) 

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