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夏のカレーと映画新旧5題 [食事]

朝からカレーをつくる。カレーってどんな風につくっても美味しいけど、自分で食べるカレーは自分でつくるのがいちばんウマいと思う。インドカレーやタイカレーじゃなくて普通の洋食カレーです。

冬場は白菜(や大根)でカレーをつくることが多いのだが、今の季節はタマネギと新ジャガイモとベーコンだけ、激辛で超シンプルにつくる。たまにはキノコやアスパラガスを入れることもあるけど、煮込むのはタマネギだけ。
最初に大量の生姜のみじん切り、ニンニクのスライス、クミンシード、コリアンダーシード、赤唐辛子をたっぷりのオリーブオイルで炒める。それから大ぶりのタマネギ約4個をざく切りにして炒める。ちなみに分量は4〜5皿分。タマネギがクタクタになりペースト状になるまで火を通す、と言うより油で煮るような感じ。クタクタになったら料理酒を振りかけて、500CCトマト缶を入れて、缶を野菜ジュースで濯いで、それも加える。あとは適当にハーブを加えて弱火で炊いていく。アクを軽くすくって、市販の辛口固形カレーを溶かして、さらに煮込む。アニスのお酒がある時は途中で加えるとさらに美味しくなる(ような気がする)。
新ジャガイモは小さければそのまま、もしくは半分に切って、少しだけ電子レンジで加熱して、バター少量とざく切りのベーコン、大量の黒こしょうと一緒にフライパンで炒めて、ジャガイモにベーコンの味をしみ込ませる。この時にトマトやタマネギ(煮込み用とは別)を一緒に炒めてもいい。あまり動かさないで表面に軽く焦げ目をつけながら、じゃがいもの中までしっかり火を通す。この中にローズマリーを入れても美味しそうだけど、まだ試していない。
で、フライパンでこんがり焼いたジャガイモとベーコンをカレーの鍋に入れてさっと合わせてできあがり。ジャガイモを入れてからはあまり煮込まない。味が濃い場合は野菜ジュースで調整する。仕上げに発酵バターを大さじ一杯くらい入れる。アスパラガスやキノコもフライパンで焼いて、しっかり塩味をつけて、最後に混ぜ合わせる。タマネギ炒めに少し時間がかかるだけで、それ以外はスゴく簡単。以上。

今日のカレーは超スパイシーで、コクがあり過ぎて胃が疲れ気味。一皿食べるとしばらく汗が止まらなくて、汗が引くと急激に眠くなる。なぜだろう。カレーはスポーツ?
甲州街道の下、京王新宿駅からワシントンホテル方面に伸びる地下通路の途中、「ゴーゴーカレー」というカレースタンドがある。ここのカレーは自分でつくる自分好みのカレーの感じによく似ている。水をあまり加えないで野菜のペーストでつくるのだと思う。ここのカレーは美味しいので時々食べに行くけど、オープンキッチンのカウンター席だけで、「舞台」のような厨房内で客の目の前で「新人教育」をするのは本当に見苦しい。新入りバイトに恥をかかせるように、客前で「指導」するのはいかがなものかと思うよ。これさえなければ、ここのカレーはホントに美味しいのでちょくちょく食べに行きたいところなのだが、飯を食っている前で新入り虐めの小芝居をされると、気分が悪くなってしまう。そういうのはバックヤードでやってほしいものだ。少なくともぼくは他人の前で上司から罵倒された記憶がないし、そんなことは絶対にしないと思う。馴れない新人バイトを客の前で罵倒したりせせら笑ったりするのはおかしいよ。厨房の雰囲気が良くて、ホントに楽しそうに料理をつくっているお店はオープンキッチンでも良いと思うけど、そうじゃない場合は舞台裏は「裏」としてしっかり隠しておいてほしい。

以下、最近観た映画の話。

DVDで「ワンダフルライフ」「ALWAYS三丁目の夕日」を観る。映画のカタチは違うけど、どちらも底流するモノは同じではないかと思った。生きている今の瞬間は別として、それ以外、記憶の中にいる人間や、語られる人間は、思い出に身体が宿っているのだと思う。というより、誰の心も「思い出」に隷属している。それが精神を動かしているエンジンで、だからあり得ないような非合理的な過ちも侵してしまう。そんな人に愛情を感じる人もいる。記憶を思い出すときの不思議な気持ちは何なのだろう。「過去のこと」として冷静に記憶を整理できないのはなぜだろう。人は過去に生きる思い出の奴隷なのだと思う。不思議だな。ほかに「北の零年」「シン・シティ」「ローレライ」を観る。

「ALWAYS三丁目の夕日」は久しぶりに映画らしい映画だと思った。喜劇と悲劇が交錯して、いくつかのエピソードが並走する、昔の日本映画みたいだ。伝統的な超ドメスティック日本映画の雰囲気。最初は気になった芝居じみた演技も、荒削りな感じもどうやら計算づくなのだろう。唯一、小雪だけが普通のテンションの演技で、彼女が登場するシーンには不思議な哀愁が漂っていた。昭和33年が舞台なので、ぼくが生まれる前なんだけど、それでも「懐かしい」と思う。登場人物のキャラ立ちが良いのでシリーズ化してほしいけど、CG製作が大変なのかな。西岸良平の原作の味はあまり出ていなくて、舞台設定と人物だけ借りて、この映画になったのならそれはそれで良いと思った。

一方「ワンダフルライフ」はどちらかと言うと国際派で、ヨーロッパでも高評価らしく、シュツットガルトの映画館でも是枝監督特集の一環でしばらく上映されていたし、映像、舞台系のフェローはこの映画を絶賛していた。英語のタイトルは「AFTER LIFE」。ファンタジーってこういうものだよなあと思う(指輪物語とかハリーポッターとかじゃなくてさ)。浮世離れした静かな空気が気持ち良い。是枝監督って不思議なポジションだ。こういう映画監督って世界的にもユニークなのでは。以前、映画館でこの映画を観た時は、助演女優の小田エリカが輝いて見えたけど、この映画の後はあまりぱっとしていないような気がする(最近、芸名を“エリカ”に変えたらしい)。ハリウッドでのリメイクの話はどうなったのだろう。好き嫌いはあるかも知れないけど、とりあえずもう一回観といて良かった。

「北の零年」は……。みんなで唐突に鍬を持って耕し始める、ラストシーンに至るクサイ田舎芝居のような盛り上げ方には苦笑するしかなかった。っていうか3時間近くだらだらと見せといて、最後が「これ」かよ。時間を浪費したという感じ。前半に出てくる船上のシーンの人工的な映像の安っぽい触感は何? オープンセットのはずなのに、なぜか「屋根」を感じる映像も変だ。お金がかかっているのか貧乏なのかよく分からない。後で考えるとセリフもかなり変。予定調和の勧善懲悪も、実は善人なのだという言い訳シーンも寒々しい。とにかく駄作は駄作なんでしょうがない。こういう駄作って日本映画の伝統だし。時代錯誤のサユリスト映画の空しさ。行定監督はどのあたりで箍が外れたのだろう。「ロビンソンの末裔」を読むと、開拓の辛さはこんなものではないと思うのだが、北海道の自然の厳しさもまったく感じられなくて残念。ただし、天才子役として名高い大後寿々花の演技はホントにスゴくて、彼女が登場すると映画の中の空気が張りつめて、大女優吉永小百合が霞んでいた。というか、主演が吉永小百合でホントに良かったの?

「シン・シティ」は毒々しい場面が多かった割には面白かったです。ダイナミックなのにこぢんまりとした不思議なスケール感は、アームチェアで「本」を開いているような気分になる。コミックの映画化ということで、「ディックトレーシー」みたいなヘンテコ映画だったらどうしようと思っていたが、マンガなのかアニメなのかフィルムなのか、何だかよく分からない類いの中途半端な映画ではなかった。画面に出るといつも目が釘付けになるジェシカ・アルバが、20代半ばで19歳の役を演じてもまったく違和感がないもスゴいけど、昔観た石井輝夫監督の「無頼平野」で当時36歳だった岡田奈々が19歳の役を演じて、これっぽっちも違和感がなかったほうがもっとスゴイと思う。セリフが一つもないのに存在感抜群のデヴォン青木は、なぜデヴォン・アオキじゃなくて漢字の青木なんだろう、というどうでもいい疑問が……。石井輝夫氏が昨年の夏に亡くなっていたとは、知らなかった。

ついでに昨年、話題になっていた映画「ローレライ」を観たけど、なんだこりゃ。映像朗読会かよ。最初から最後まで登場人物の頭に血が上った舞い上がり気味の陶酔セリフばかりで、しかも説明セリフが延々続く「しゃべりすぎ」で「泣きすぎ」の最悪映画だった。潜水艦の中では静かにしようよ。しゃべりが多過ぎて緊張感がゼロだ。あんなにセリフがなくても演技だけで十分説明や理解できる場面があったと思う。普通の人って、就職の面接とか、女の子を口説いている時とか、カウンセリングを受けてる時以外はあんなにぺらぺらしゃべらないよね。で、たいていしゃべり過ぎて撃沈するんじゃん。現実離れした話だからこそ、言い訳セリフじゃなくて映像のテンションで観客をつなぎ止める技術が欲しかった。とにかく、映画館で、親子連れのお父さんが、場面を子どもに説明しながら観ている隣の席に座った気分。戦闘シーンのCGはゲームみたいだったし。特撮監督が本編の監督をやるとこんな風になっちゃうのかな。ちょっとプロパガンダ臭もするが、もう少し洗練されないと沸点の低い感動バカしか一緒に盛り上がらないんじゃないの。もう、製作者の志しが低過ぎというか、ハードル低過ぎ。香椎由宇はキレイだったけど。

とにかく人が人前ですぐに泣く映画は、その時点でダメだな。動物がかわいそうな顔をする映画もダメ。下ネタで笑いをとるのと一緒。

と、液晶プロジェクタがオーバーヒート気味。ランプの寿命が近いような気がする。

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