SSブログ

横浜ベイスターズ/王貞治 [その他]

上野恩賜公園の休憩所でビールを飲む。ちょっとドイツっぽい。ノラネコにソーセージをねだられる。上野はいつも外国人観光客でいっぱいだ。この一カ月、仕事(ロケハンとか仕事とか打ち合わせ)で上野に週に3回は通っていた。上野ってホントいいところだなあ。食事がおいしいお店も多いし、アメ横も予想外に楽しい。東京は東のほうが落ち着く感じがする。でも住んでるのは西のほうだけど。

   
   

かれこれ35年くらいプロ野球を見ていて、最近はあまり球場に行かなくなったけど、以前はよく、仕事を早く切り上げて東京ドームや神宮球場、横浜スタジアムに出かけた。以前はゴールデンウィーク中は一度は野球場に行ったような気がする。野球場ってなかなかキレイで、ゲートをくぐって観客席に出ると、ばーんと広くて明るい空間が目の前に広がって、それだけで気分が盛り上がる。屋根がなくて夜空が見える横浜スタジアムや神宮球場は特にいい。デイゲームの野球場も好きだ。球場で飲むビールはうまい。とにかく野球場が好きなんだな。ぼくは中学の頃は大洋ホエールズのファンで、野球解説者をしている斉藤明夫が新人王を獲った頃から野球を見始めた。当時の大洋の監督は別当薫。エースは平松。松原、田代、シピンと右バッターばかりが並ぶ珍しいクリーンアップだった。弱くはなかったけど、子どもの目にも優勝するチームには見えなかったな。その前は阪神や広島を応援していた。どうして大洋ファンになったかはよく覚えていない。それから大洋は横浜に移転して横浜大洋ホエールズという名前になり、その後、横浜ベイスターズになって日本シリーズも制した。優勝したなんて信じられない。大矢明彦という名監督のおかげだ(優勝した時は権藤監督だった)。

大矢明彦 ベイスターズの真実

大矢明彦 ベイスターズの真実

  • 作者: 矢島 裕紀彦
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1998/11
  • メディア: 文庫


それがいつの間にかスポーツニュースの小見出しにもならない、話題の薄い弱体球団になってしまった。TBSが球団オーナーになってからだ。監督の椅子に自局の野球解説者だった牛島をねじ込んで(目障りな石橋貴明までオマケに付けて)、最初の年はそこそこ良かったみたいだけど(ドイツにいたので試合は見ていない)、今年はホントに酷過ぎるよな。ウチにはTVがないから、TBSラジオで聴こうと思ってもなぜかジャイアンツ戦で、仕方ないのでYAHOOスポーツの速報をたまに見ると、あまりの弱々しさに力が抜けてしまう。選手のラインアップを含めて、明らかに監督の采配の問題だと思うんだけど、早く途中解任にならないものだろうか。昔、森が監督になって「もう横浜はダメだー」と思い、しばらく見ない時期があったけど、それでも少しは気になって喫茶店にスポーツ新聞があれば横浜の記事を探したものだ。でも今はそんな気分すらゼロ。プロ野球の監督って、森や野村みたいにただ勝てばいいだけじゃなくて、選手同士の細かい駆け引きも実はどうでもよくて(そんなのサブストーリーに過ぎなくて)、とにかく大枠でエンターテインメントとして、ファンの期待や想像力をかき立てる、希望の持てる采配をしてほしい。会社っぽく言えば「顧客満足の結果」としての勝利が不可欠なのだ。だってお金払っている観客がいるのだから。ボビーや原を見ろよ。そのディレクターが球場の観客席にいるファンが見えなくて、自分の足下しか見ていないようだと、これはヤバいんじゃないかな。まさに今の横浜がそんな感じだ。それなのに危機感ゼロの球団とオーナー企業は、とりあえず「社会市民性の欠如」と会社っぽく言っておく。

最近「ミッション」という言葉を普通に使うようになった。でも10年くらい前は「キリスト教の布教活動ですか」みたいな受け取られ方だったはず。スポーツの世界でも同じ。球団の社会市民性というか、スポーツ団体や法人が一市民として社会に果たす役割、もっと分かりやすく言えば、この社会に存在していることが許される理由みたいなモノが求められるようになった。これがミッションだ。スポーツの記事で「ミッション」という言葉を最初に見たのは、ジュビロ磐田についての新聞コラムだった。ジュビロではオランダからオフトを監督に迎えた時に、オフトからこう聞かれたらしい。「ところでジュビロ磐田のミッションは何か」。当然、チームのフロントはそんなことは考えたこともなくて、でも欧米のスポーツチームを調べると必ずチームの「ミッション」があることを知り、これまでジュビロが地域で果たしていた役割を再確認しつつ、ジュビロ磐田のミッションを一から築いたという話。オフトはただ勝てば良かったわけではなく、ディレクターとしてチームのミッションに則りながら勝利する方法を考えなければならなかった。欧米から監督を招聘したJリーグは、野球より一足早く社会市民性を獲得していったわけだ。

プロ野球の監督で「このチームのミッションは何か」なんて聞く人はいるのだろうか。原監督、古田監督、田尾元監督なんかはちゃんと上層部と「ミッション」について話し合いをしているような気がするけど、野村はそんなこと考えないだろうな。とにかく勝てばいいと思っている。つまらない試合をしても勝つことが重要。試合がつまらないのは観客に観る力がないからだ、なんて傲慢なことを言ってそうだ。落合も同じ印象。ファンを小馬鹿にしたような話し振りはなんとかならないのだろうか。観客は観る「プロ」なんだから、野球やるだけの「アマチュア」に偉そうなこと言われたくないよな。野球の見方まで指導していただかなくて結構。牛島も何にも考えていないな。だからプロ野球ってダメなんじゃないの。勝っても負けても観客満足度が保てて、一市民として慕われ、優勝すればさらに良い。そんな球団経営が必要なのに「利益追求(勝利優先)」じゃあ、選手もへとへとだろう。

プロ野球選手の社会性みたいなことにいち早く気づいたのは王貞治氏だったと思う。王さんは、ぼくが子どもの頃に入院していた病院に、札幌で試合があると必ず慰問に来てくれて、病室を一部屋ずつ回り「早く元気になってください」と病床の子どもたちに声を掛けていた。その場でサインもしてくれた。王選手は一秒でサインを書くって子どもたちの間で話題になっていたくらいだ。ぼくは比較的元気なほうだったから、病院の付属養護学校の講堂でみんなで王さんの話を聞いて、いろいろと質問したり、ピンポン球で野球のまねごとをしたりした(その頃、病棟の廊下でピンポン球とラケットで「野球」するのが流行っていた)。ちゃんと一本足打法でラケットを振ってくれたりして。今思えば試合の合間ですごく疲れていただろうと思う。まだ子どもだったからそんなことは考えず、ただ嬉しかっただけだけど。病棟の子どもが王さんにファンレターを送ったことがきっかけだったらしい。「ホームラン王」であることの社会的な意味をちゃんと知っていた人だったのだろう。だからぼくは今でも王貞治監督を尊敬している。


スポーツとは何か

スポーツとは何か

  • 作者: 玉木 正之
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/08
  • メディア: 新書



スポーツルールはなぜ不公平か

スポーツルールはなぜ不公平か

  • 作者: 生島 淳
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/07
  • メディア: 単行本


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(1) 

nice! 1

コメント 2

fujii

ご無沙汰しています。

ずいぶん前に、橋場さんとコンランカフェでお茶をしていた際に
ばったり会ったOZONEで働く友人(加藤さん)に
先週、ほんとうに久しぶりに会いました。
「橋場さんはドイツから戻ってきたの?」との問いかけに
ご連絡をしていなかった不義理に胸が痛み。
加藤さんは結婚していました。まだOZONEにいます。

わたしは未だ長い休養中です。
お時間があれば、ランチでも。
閑をもてあましている時にでも、ご連絡ください。
来週、上野へ行くので、美味しいレストランを教えてください。
わたしは精養軒のカツサンドが意外に好きです。
by fujii (2006-05-05 01:54) 

hsba

fujiiさん、こんにちは。こちらもご無沙汰して恐縮です。そのうちゴハンでも食べましょう。
by hsba (2006-05-08 03:51) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。