今日は特にこれといってトピックはなし。
朝起きて窓の外を見ると、どんより暗くしとしと小糠雨が降る憂鬱な景色が広がっていた。ドイツに来る前にまとめて一気に読んだ浦沢直樹のマンガ「MONSTER」を思い出す(ハリウッドで映画化の話はどうなったのだろう)。ゴミを捨てに外に出てみると意外に温かくて、適度な湿り気も気持ち良く、そのまま傘も持たずに外出することにした。書きかけの手紙が何通かあったので、カフェでコーヒーを飲みながら残りを書いてそのまま郵便局に持っていこう。でもシュツットガルトはクリスマスマーケットで大混雑しているし郵便局もいつも混んでいる。それで、シュツットガルトの反対側の街レオンベルク行きのバスに乗った。レオンベルクのことは前にも何度か書いたことがある。
バスのアナウンスを聞くと「リヨンベルク」の表記のほうがドイツ語発音に近いかも知れない。旧市街には第二次大戦の爆撃を逃れ古い建物がたくさん残っている。日本ではほとんど無名な街だけど(レオンベルガーという犬の名前で知られているかも)、ヨーロッパの旅行ガイドではシュツットガルト旅行のエクスカーションとしてレオンベルク日帰りプランがよく紹介されている。シュツットガルトの街はモダン過ぎて、「ドイツ!」を期待する観光客にはちょっと味気ないから、目でもドイツ気分を味わおうと思うなら、電車Sバーンで15分ほどのレオンベルクはおあつらえむきのスポットだ。 街には中世からの旧跡も多い。
雰囲気の良い石畳の狭い坂道にこぢんまりとお店が集まり、レストランも洗練されていて、高級食材、ブランド革製品・洋服を扱うショップもある。その道を教会方向に抜けたレオンベルクのマルクトプラッツには、古いハーフティンバーの三角屋根の建物を改装したレストランやコンディトライ&カフェが何軒かあって、夏は広場中央の噴水(昔の馬の水飲み場の跡)近くまでテーブルがたくさん並べられ、ブルーモーメントの空の下で冷たいロゼワインと食事を楽しむことができる。銀行が昔ながらの木造建築を改装し、店舗として使っているのも面白い。このハーフチェンバー建築は日本の古民家の印象が重なって2〜3階建てくらいに思ってしまうけど、実際は5〜7階建てビルと同じ高さがある。とりあえずマルクトプラッツのカフェでケーキを食べながら手紙を書いた。お店の人の対応もゆとりがあって気持ち良い。郵便局も空いていて、このくらい余裕があるのが良いと思った。
マルクトプラッツに気になる肉屋と八百屋がある。八百屋は70年代な雰囲気。
マルクトプラッツから少し離れたところにある新市街には、百貨店やモダンなショッピングセンターが建てられているが、こちらは不人気らしく一部はゴーストタウンみたいになっていた。日陰がほとんどなくて、夏場にこの辺りを歩くとミクロネシア、サイパン島のガラパン地区を散歩している気分になる。赤札ばかりが目立つ中途半端なショッピングモールも、アジアンエスニックの店も、なぜかスキューバダイビングの看板が多いのも、微妙にサイパン気分を盛り上げてくれる感じだ。典型的な地方都市の新商業地域計画の失敗例といったところか。そんなわけで、もしレオンベルクに来たなら旧市街からあまり出ないことをお勧めしたいところだ。
http://www.leonberg.de/(残念ながらすべてドイツ語)