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スーパーカーSTELVIO [デザイン/建築]


原宿の駅前で珍しいクルマを見かけたので、携帯のカメラで追いかけてしまう。このクルマの詳しい話は下のウェブサイトが詳しいので見てください。
http://park3.wakwak.com/~haizuri/sub1-index.html
1989年に発表されたオーテック・ザガート・ステルビオ AUTECH ZAGATO STELVIOは、当初の予定生産台数の半分のわずか約100台がイタリアで生産され、そのほとんどが日本に輸出されたそうだ。でも、そんなイリオモテヤマネコクラスの稀少車に気づいた人はほとんどいない。価格は約1800万円。当時のメルセデスベンツSクラスより高い信じられない価格設定。これもバブル景気というものか。みんなどこか浮き足立っていて、高いモノから先に売れるという神話の世界で生きていたのだ。オーテック・ジャパンはプリンス(日産)スカイラインの父と呼ばれた桜井眞一郎が代表を務めた、特装車製造販売のための日産の子会社。ここがイタリアの名門カロッツエリアのザガートと開発したスペシャルティカーがステルビオだ。ホンモノを見るのは2度目で、ちゃんと走っているのを見たのは今回が初めてだった。この日見たステルビオはアルミホイールもオリジナルのままだ。

ステルビオのデザインの最大の特徴は、この写真では分からないけど、フェンダーミラーがボンネットに内蔵されていること。発表当時は、このあまりにアグリーな顔つきが話題になっていたが、これはザガートのデザインというよりは、桜井氏の強い要望、というかチャレンジだったらしい。ずいぶんと前のことなので確証はないが、桜井氏がドアミラーの限界について語っている記事を読んだ記憶があり、エンジニアとしてフェンダーミラーに拘泥する理由が何かあったのだろう。当時の写真はどう撮影してもフォトジェニックにはならず、頬骨が異常に張ったようなマスクの、アクが強いバッドセンスな印象だけが記憶に刷り込まれている。とにかくフロント周りについては良くも悪くも個性豊か。しかし実物を見ると、この強烈なフロントも意外に好意的に受け止められたのが不思議だった。それだけ時代が過ぎた証拠だろうか。時はいろんなことを解決するな。ベースになっているのは日産レパードF31アルティマ・ツインカム・ターボ。同車が搭載する2960ccV型6気筒DOHCターボは、アルファロメオのV型エンジンのパクリと噂されたエンジンだった(日産とアルファロメオはある時期まで提携関係にあった。1983年のパルサーミラノX1には、白地に赤い十字架とヴィスコンティ家の紋章が付けられていた)。アルファロメオとザガートはかつては相思相愛だったから、ある意味ベストマッチ。さらに、このレパード(F31)は、「都市工学です」をキャッチフレーズに高級セダン化して、トヨタ・マークⅡ軍団との抗争の矢面に立たされた、1985年発表のスカイライン(R31)がベースになっている。桜井眞一郎氏が(途中まで)関わった最後のスカイラインだった。そしてR31はスカイライン史上最悪と罵倒されたモデルでもある。ステルビオ開発は桜井氏の遺恨試合でもあったのかも知れない。

ザガートはその後、同じくレパードをベースとするガビア GAVIAという車種を発表する。これはなかなかエレガントなデザインだった。冒頭で紹介したウェブサイト「AUTECH ZAGATO」を制作管理する方は、ステルビオのプロジェクトでザガート社イチオシの提案がこの「ガビア」だったのではないかと書いている。ザガートも“醜いアヒルの子”をつくりたくてつくったわけではなかったのだ。いろんな事情があったんだろうな。大人の事情……。ザガートは昨年、トヨペット50周年記念でハリヤーザガートをデザインしているが、製造していたのはトヨタだった。これは250台の限定発売で、写真からは正直、ザガートがわざわざデザインするまでもない印象がある。ハリヤーは前モデルにもザガート仕様があった。その他、2001年にもMR2ベースでVM180を発表したりしている。でも、最近のザガートって、東京モーターショーに展示するカロッツエリアというより、東京オートサロンでドレスアップカーをお披露目する街の工房みたいな、誤解を恐れずに言えばかなり零落した印象がある。ご愁傷さまです。

いずれにしても、望まれなかった(かも知れない)日本イタリアの混血車ステルビオの何台かは、運良く、深い愛情に巡り会い、今も都内を走り回っているようだ。リセールバリューはあまり良くないみたいで、90年代半ば中古車市場では400万円くらいで売りに出ていたらしい。今でも探すと見つかるかも。ぼくは買わないけど。

Zagato Fulvia Sport Competizione

Zagato Fulvia Sport Competizione

  • 作者: Carlo Stella, Bruno Vettore
  • 出版社/メーカー: Giorgio Nada Editore
  • 発売日: 2003/02
  • メディア: ハードカバー


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Zagato

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Best regards Henri

spamaurer@yahoo.com
by Zagato (2008-01-27 05:23) 

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