梅佳代情熱大陸

朝起きると鼻水がスゴイのと、少し息苦しくて頭痛がした。この頭痛は喘息のせいだと思う。昨日の夜、ネコ公園で広島から越してきたばかりの近所の若者から缶ビールをもらい、ネコを眺めながら、二人で世間話をサカナに公園でビールを飲んでいた。見知らぬ人からお酒をいただくなんて、不思議な夜だなと思う。実はこの時、何だか肺の辺りに喘息っぽい気配があって、寒空の下で飲んだ冷たいアルコールのせいかなと思っていた。その夜は気にしないで、お風呂に入ってから寝たのだけど、その肺の違和感そのまま残っている感じだ。それよりとにかく頭痛と鼻づまりが酷くて、とりあえず鼻炎のクスリを飲んで、ホクナリンテープを胸の真ん中に貼って、鎮痛剤は飲まないで無理矢理に寝直すことにする。ベッドに入って約3時間、ドアのチャイムで目が覚めると、鼻づまりも息苦しさもすっかり治っていた。睡眠は最高のクスリだな。頭の芯に少しだけ頭痛の名残があるけど、元来、頭痛持ちなのであまり気にならない。急な来客は新興宗教の布教活動と思われ、インターフォンで「今手が離せない」と応対を断ると、「失礼しました」と帰っていった。それから寝汗をシャワーで流して、ヒゲを剃り、しっかり顔を洗って、サンプルでもらったKorresのヨーグルトフェイスマスクを使う。肩こりが酷い。着替えてからキッチンで白菜とチンゲンサイを切り、鮭の切り身にお湯をかけてアクを落として、えのき茸と男爵芋、調味料と土鍋に入れて火にかける。間もなくご飯も炊けて、昼間から鍋料理。ただしお酒はなし。この鍋のオリジナルのレシピは鮭缶を使う。実際に缶詰でつくったほうが美味しいと思う。食後、残ったスープにジャガイモと白菜を追加して、小口切りのウインナーソーセージを入れ、すり潰したトウモロコシの缶詰をあけて、白菜とコーンのスープをつくる。これは夕食用。

食事が済んでからメールのチェックをしていたら、表からぴーぴー小鳥のような鳴き声が聞こえた。ベランダに出てみると、通りの反対側の駐車場に脇に段ボールの箱が置いてある。その中に子ネコが捨てられているらしい。駐車場のあるアパートの住人と思われる男性が、箱の中を心配そうに覗き込んでいた。食後に蒸しパンを半分食べてコーヒーを飲んでから、ぼくも様子を見に外に出てみることにする。恐る恐る段ボールのふたを開けてみると、箱の中は既に空っぽだった。誰かがもらってくれたのか、親ネコが引き取りにきたのかは不明。妊娠中の三毛ネコが時々、部屋の前でゴハンをねだりにきたことがあったけど、そのネコの子どもではないだろうか。空を見るとどんより薄い雲が一面にかかっていて、急に冬になったのではないかと思った。木枯らしが冷たい。部屋に戻って食器を洗い、今年初めてコートに袖を通し、本を二冊持って外に出る。

まず表参道の美容室「Boy U」に予約の電話。それからバスに乗って富ヶ谷で降りて、原宿まで歩くことにする。髪を切った帰りに伊勢丹に立ち寄ろうと思ったのだが、閉店時間が迫っていたのでとりやめ、銀座線で渋谷に向かう。昔の銀座線のオレンジ色の電車は、駅のホームに入るたびに一瞬照明が消えて車内が真っ暗になるのが不思議だった。そんなに前の話ではないので、覚えている人はまだたくさんいると思う。渋谷からバスに乗り、弥生町一丁目で降りて工事中の山手通りを渡る。そして部屋に帰る前に缶コーヒーを買って公園に立ち寄る。

「はしば〜遊んでくれろ」とノラネコが一匹やってくる。

このネコはナパ革のバッグが大好きで、ベンチの上に置いておくと、知らないうちにバッグの上で丸まって寝ていることがある。きっと柔らかい場所が好きなんだな。確かに街の中で「柔らかい」寝床を探すのは大変だ。寝ている間は良いのだが、時々目を覚まして、バッグの端っこをくちゃくちゃ噛んだりする。やめるようにぽかりと頭を叩くと、今度は面白がってその手に戯れついてくる。爪を立てるので大変だ。こうして気がつくと半時間が過ぎていたりする。ノラネコのわりには無防備なほうだ。これが平和ボケと言うことなのだろうか。

「Boy U」のカウンターに梅佳代の写真集「うめめ」が置いてあった。数日前にカットモデルで梅ちゃんがお店に来たらしい。「情熱大陸」の取材も始まったらしく、梅佳代は来年、いきなり大ブレイクするのではないかと思ったりする。NHKの「トップランナー」とかにも出演しそうな予感。目くるめく展開に、当人がいちばん驚いているのではないだろうか。以前「優香を撮る仕事ありませんか」と唐突に言われたことがあったけど、梅ちゃん自身がその優香とテレビで共演できるようになるかも知れない。なぜ優香を撮影したかったのかと聞くと、彼女が夢の中に出てきたとからいう理由だった。ぼくも夢にアイドルが出てくると、翌朝にはファンになっていることがあったので、気持ちは分からないわけではない。