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スイスの朝食/ホテルの朝食/喜多俊之 [旅/ホテル]

チューリヒで泊まったホテルからの眺め。朝、窓を開けるとぴりぴりするほど冷たい空気が部屋に入り込む。市街からは少々離れていたが、その分とても静かで快適だった。それでも中央駅からトラムで数分、徒歩で10分ほど。
http://www.minotel.com/minotelPublic/main/basicHotelInfo.asp?hotelCode=CH224

スイスのホテルと言えば忘れてはいけないのが「朝食」。
なぜ「朝食」かというと、堀井和子さんの「小さな家とスイスの朝食」を読んだことがあるから。本に影響されやすいのだ。ぼくは単純に堀井さんのような暮らしに憧れてしまう。一度、仕事で家におじゃましたことがあるが、本当に素敵な暮らしぶりだった。家中の品々が大切に使われているのが分かる。ぼくは、例えば、塵ひとつなく、きれいに掃除された庭よりも、枯れ葉が2、3枚落ちていて、掃いた箒目が残る庭が好きだ。堀井さんの生活はまさにそんな感じだった。
で、期待していたホテルの朝食。目の詰まったしっかりめの白パンは、噛むと小麦の旨味がひろがってとても美味しい。コーヒーも美味しい。ラウゲンクロワッサンもドイツとは違う。チーズもうまい。しかし、チェックアウトの時に分かったのだが、朝食は有料だった。15スイスフラン(約10ユーロ=1400円)。予想外の出費。




小さな家とスイスの朝食

小さな家とスイスの朝食

  • 作者: 堀井 和子
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2000/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




ぼくにとってのホテルの朝食ベスト2は、ベルリンの「Hotel Q!」とマインツの「QUARTIER65」。どちらもBIOの食材を使っていた。「Hotel Q!」は好み通りにタマゴを厨房で料理してくれたし「QUARTIER65」のゆで卵はこれまで食べた中でいちばんおいしいかった(黄身の味が濃くて塩がいらない)。どちらも一日がハッピーになるような朝食だ。ただし「Hotel Q!」は有料で、「QUARTIER65」は一泊87ユーロ朝食付きなので、どちらかと言われるとマインツのホテルの勝ち。もちろん日本旅館のほかほかの朝食にはかなわない。「Hotel Q!」は二日目の朝食のスープが、なぜかワカメの味噌汁だった。日本食=健康志向というイメージなのだろうか。これまで、朝食に味噌汁があったのは、5年くらい前に視察旅行で泊まったパリとオランダのアイントホーフェンのホテル。こちらはツアーの日本人客への心遣いだと思う。いずれもご飯がなかったのが残念だった。

Hotel Q! http://www.pixeltree.de/qhotel/
Winner of Travel & Leisure's Design Award 2005 (best designhotel)
selected by Condé Nast Traveller as one of the hottest hotel.
HotelQ!の記事 http://blog.so-net.ne.jp/hashiba-in-stuttgart/2005-09-06

QUARTIER65 http://www.quartier65.de/ 
Die 100 besten Adressen in Europa by Architektur&Wohnen Heft 6/2003 A&W special DESIGNHOTELS
QUARTIER65の記事 http://blog.so-net.ne.jp/hashiba-in-stuttgart/2005-03-15

「Hotel Q!」の予約はHotelClub.comがお勧め。通常一泊150ユーロが約30%ディスカウント。地下の超快適SPAは宿泊客無料。スタッフは必要以上にフレンドリー。

Discount Hotel Reservation


フレデリックの部屋の窓側のコーナー。知的で美しいモノに囲まれた心豊かな暮らしが伝わってくる。なにより《Wink》の白というのがいい。ぼくはデザイナーの喜多俊之さんでいちばん好きな(というより唯一好きな)仕事がこのウインクチェアだ。それも白以外は好きではない。白がいい。この椅子は1979年には完成していたのに、メーカーであるカッシーナが「新しい80年代のための椅子」として売り出すために、わざわざ1年発表を遅らせたという伝説がある。愛称はTopplino(小さなネズミ)。確かプジョーのドライビングシートのリクライニング機構を流用してつくられたはず。日本人が世界に誇れるデザインの一つ。喜多さんの最近のヒット作と言えばシャープの液晶テレビAQUOSだが、脚やスピーカーに、にょろっとラウンドした喜多さんキャラクターがなければ、僭越ながら、もっと洗練されたのではないかと思う。でもあの分かりやすさが売れ行きにつながっているような気もするし、難しいところだ。ポンピドゥーセンターのパーマネントコレクションにも選ばれている。

スイスにはスーパーマーケットマニアならきっと知っている「MIGROS」という生活協同組合がある。オレンジ色のヘルヴェチカのロゴが目印。スーパーとしてPB商品を初めて店頭に並べたと言われる、世界のスーパーマーケットのお手本のような店だ。「無印良品」の元祖とも言える。東京のCO-OP生活協同組合の店舗運営は、MIGROSの運営方法に倣っている。今や銀行、不動産、学校、百貨店、専門店チェーンを傘下に収める巨大商業コンプレックスで海外進出もしているようだ。ぼくはこの「MIGROS」の歴史を「ミグロの冒険」という本で知った。内容の半分くらいは創始者ゴットリープ・ドゥットワイラーの生涯。消費者としてのスイス人の背景も見えてくるし、同じ量販店の創業者でも「おしん」とは違う面白さがある。

ミグロの冒険―スイスの暮しを支えるミグロ生協の歩み

ミグロの冒険―スイスの暮しを支えるミグロ生協の歩み

  • 作者: 山下 肇, 山下 万里, アルフレート・A・ヘスラー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


書評で読んだのか、誰かに薦められたのか忘れてしまったが、毎日新聞の記者が書いた「黒いスイス」は気になる一冊だ。書名はかなりセンセーショナルだが、内容は真面目な取材に基づいた「スイスの今」が分かるものらしい。ぼくは未読。帰国したら読む予定。

黒いスイス

黒いスイス

  • 作者: 福原 直樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/03
  • メディア: 新書


ぼくは「本の旅人」という角川書店のフリーペーパーで連載していた、元在スイス日本大使の国松孝次さんのスイスについてのエッセイを毎回楽しみにしていた。スイスについての話というより読み物として面白かった。これが2年前に一冊の本にまとめられた。平易で流暢な語り口調で書かれていて、国松さんとは、あの事件で狙撃された元警視庁長官であることに気づかなかった。

スイス探訪―したたかなスイス人のしなやかな生き方

スイス探訪―したたかなスイス人のしなやかな生き方

  • 作者: 国松 孝次
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2003/04
  • メディア: 単行本



スイス政府観光局にはデザインや建築にとても詳しいスタッフがいる。ウェブサイトも情報満載で面白い。スイス旅行を計画している方は必見。地名表記はこのサイトに倣った。http://www.myswiss.jp/

チューリヒ湖の夕暮れ。カモメとカモが水面に浮かんでいた(カモとカモメって語源が同じ?)。フランクフルト行きのICEは午後7時過ぎにチューリヒ駅の地下ホームを出発する。夕食を簡単に済ませて早めにホームに下りる。

さようならチューリヒ。その街で出会った人たちの印象が良いと、街の印象も良くなるものだ。だからぼくはチューリヒが大好きになった。会おうと思っていていたのに、ぼくの無精で会えなかった方もいた。今はすぐ隣の国だけど、日本に帰国したら遠い異国になってしまう。それが悲しい。


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marico

はじめまして。
ミクシーの足跡からきました。(^^)
大変興味深い日記です!つぼにはいりました!
これからがしがしお邪魔してしまってよいでしょうか?
ひとつよろしゅうに。
by marico (2005-11-11 09:37) 

hsba

maricoさん、こんにちは。
どこが「つぼ」だったのか気になるところですが、今後ともどうぞよろしく。
「つぼ」を教えていただければ、ネタ探しします。元編集者なので……。
by hsba (2005-11-11 10:36) 

ガトーショコラ

わたしもミクシーの足跡からお邪魔しております。
初めて会社に勤めた時に、お金を貯めてスイスへ3ヶ月くらい旅行するのが夢でした。まだ実現していませんが、いつかきっとと思っているので、写真と文章に胸が高鳴っています。それと、大ざっぱな性格なので、堀井和子さんはずっと夢の世界の憧れの人でした。ダブルパンチでクラクラしてます。はー。それでは、また!
by ガトーショコラ (2005-11-11 10:51) 

hsba

ガトーショコラさん、初めまして。
スイスは都市も個性豊かだと聞きますが、山岳地方は谷ごとに言語と文化があると言われていて、丹念にまわるとかなり面白そうです。3カ月あればゆったりと、意味のあるスイス旅行ができるのではないでしょうか。いつか実現できる日が来ると良いですね。堀井さんは本当に尊敬しています。
by hsba (2005-11-11 11:27) 

akamaru

スイスは自然がきれいなとこですね!
じっくり堪能してきてください
by akamaru (2005-11-11 11:45) 

オーニー

こんばんわ
いやー、朝食予想外に高いですね15ユーロって。。
スイスの物価が高い。
ウインクチェアも高いし(←てがでませんな・・)
なんか一枚目の写真は
紅葉で落ち葉がたくさんありますけど
スイスも今の時期秋ですか?
by オーニー (2005-11-12 00:07) 

UMAGURUMA

またまたこんにちは。
スイスの飲み物で、リベラってご存知ですか?
牛乳から作ったとかいうちょっとオロナミンCに似た感じの
清涼飲料水なんですが、赤、青、緑と味が違いまして
私は結構好きです。今年の春、久しぶりに仕事でジュネーブに
行ったのですが、毎日かかさず飲んでました。
もし機会がありましたら、ものは試しで是非。
ではでは。
by UMAGURUMA (2005-11-12 00:37) 

hsba

あかまるさん、nice!ありがとうございます。車窓から見えたスイスの川や山の風景は本当にきれいでした。木がほとんどなくて、岩が切り立っていて日本の山とは違いますね。この景色もスイスの売り物の一つなんですね。

オーニーさん、こんにちは。朝食は15ユーロじゃなくて15スイスフランですよ。約10ユーロ、1500円くらいです。それでも高いですよね。日本のホテルの朝食も2000円くらいするとこともあるから仕方ないかと思いましたが。スイスは冬のようなどんよりした空でしたね。みんなマフラーとコートです。寒かったです。

UMAGURUMAさん、どうも。リベラって気がつかなかったですね。ドイツでも売っているかも知れない。探してみます。こういうものはとりあえず飲んでおきたいので。ドイツのビタミンドリンクといえば、Redbullが有名です。カフェやレストランのメニューにも載ってますからね。
by hsba (2005-11-12 06:23) 

cherie*

MのマークのMIGORS!わたしも見てまわりましたよ。担当してた商品を去年スイスで一番売ってくれていた小売店はこのスーパーだったんです。さらに、ジュネーブのデパートの展示がかなり洗練されていていることに、そのとき気づきました。
スイス人ってQuality of Lifeを大事にする人たちですね。会社の同僚は洋服の趣味はいいし、広いリビングがある家で、大人で落ち着いた生活をしてる雰囲気でした。不景気でもインテリア・お洋服・旅行にはお金を使うみたいです。
黒いスイス読みました。優等生スイスも腹黒いことしているって告発本でした。でも、そんなこといったら、日本は極黒だよ。という感想でした・・
by cherie* (2005-11-12 22:13) 

hsba

cherie*さん、こんにちは。
チューリヒのデパートにも予想外に感動してしまいました。お店の二カ所の入り口の脇に小さなデリのスタンドがそれそれ二つずつ設置されているのですが、シズル感満点でデザインも洗練されていて、露店なのにそれなりに高級感もありウマいなあと思いましたよ。それにおしゃれな人はドイツよりは確実に多い。所得も多いのでしょうね。「黒いスイス」は、タイトルとは裏腹に単純にスイスの裏事情を暴くだけの本ではないと聞いていたけど、やはり裏話暴露が好きな人向けの一冊なんでしょうか。
by hsba (2005-11-13 03:09) 

ミクシィやってらっしゃるんですね。あとで、検索しちゃいます。(笑)
by (2005-11-14 00:36) 

hsba

どこも本名のままじっとしているので時間の問題でしょう。
by hsba (2005-11-14 12:14) 

schoggi_ch

はじめまして。チューリヒに長期滞在して戻ってきたばかりの者です。ちなみに、車でシュトゥットガルトへ行って、そこから成田への帰路につきました。Schaffhauserstrasseのこのホテルも、中央駅の画像も懐かしくって、楽しく見させて頂きました。ちなみに、あの中まで詰まっているパンはZoepf(ツォプフ)です。ドイツのツォプフとはだいぶ違いますね。確かドイツのは甘い菓子パン風だったと思います。ミグロの本があるの知りませんでした。面白そうなので、今度読んでみたいです。黒いスイスは、私の知り合いの間でもとても流行っておりました。必読と言われましたが、私も残念ながらまだ読んでません。読んでみようなかぁ。
by schoggi_ch (2005-11-24 19:53) 

hsba

schoggiさん、はじめまして。チューリヒで暮らしていたんですね。シュツットガルトは第二次大戦の絨毯爆撃で街のほとんどが破壊されたので、古い建物が少ししか残っていいず、チューリヒに行って「ああ、ヨーロッパにいるんだなあ」という気分になれました。とてもきれいな街です。あと、あのパンはツォプフって言うんですね。確かにドイツのツォプフ風白パンはミルクパンみたいに少し甘い味がします。スイスのツォプフは本当においしかった。また食べに行きたいくらい。ミグロの本は面白いですよ。
by hsba (2005-11-27 09:40) 

schoggi_ch

こんには。なんか、お料理とかされるみたいなので、ちょっと情報。ツォプフのパンは手作りでもすぐに出来ます。私、全然パン作りの知識ないですが、このサイトを見て作りましたら、上手に出来ました。かなり味もいけてます。ドイツでは、スイスのツォプフが手に入らないと思うのですが、このレシピがあれば、手作りも可能。。。
by schoggi_ch (2005-11-27 16:29) 

hsba

schoggiさん、コメントありがとうございます。ぼくもパンを焼いたことは一度もないんですけど、美味しく焼けますかねー。ところでレシピがあるサイトって……。
by hsba (2005-11-29 09:00) 

ちぇぶらさん

 こんばんは。(^_^) スイスに長く住んでました、チューリッヒが中心だったので、こちらの写真とても懐かしく拝見しました。今は日本と往復して暮らしてます、仕事でスイス以外の国に行く機会も多いのですが、心はいつもスイスにある感じですね、家族や友達が沢山いる国ですし。「黒いスイス」は賛否両論ですが、読む価値のある本だと思いますよ。ミグロ、そして堀井さんと国松さんの本も愛読してます。(*'_'*)スイスは色々な文化が一緒に存在している国でもあります、もし次に機会がありましたらフランス語圏とイタリア語圏もおすすめですよ。
by ちぇぶらさん (2005-12-10 20:47) 

hsba

ちぇぶらさん、こんにちは。前にスイス政府観光局の方から、スイスは谷の数だけ言語と文化があるって聞きました。シュツットガルト・ミラノを結ぶ特急チザルピーノの車窓を眺めていると、イタリア国境に近づくにつれて家の形が変わっていくのが面白かった。一つの国に複数の言語というのも改めて考えると不思議です。お札を見ると裏表で四カ国語表示ですよね(英語表記はなし)。ぼくはバーゼルとチューリヒにしか行ったことがなくて、フランス語、イタリア語圏は未踏です。お勧めの都市はありますか? 日本に帰国すると、今は隣国のスイスも遠い国の一つになってしまうのが悲しいです。
by hsba (2005-12-11 20:45) 

福ちゃんat Zurich

すみません、先ほどはマグロのおいしそうな記事につい興奮してしまい、自己紹介さえ忘れてしまいました。チューリッヒ在住のものです。橋場さんのブログがあまりにも興味深く、楽しいので2時間ほど一気に読んでいる最中にこの記事を見つけました。最初のホテルからの写真を見て、家の近所にお泊まりになられたことがわかり、また興奮しております。なんだかとってもうれしいです。チューリッヒもお気に召したようで、これまたうれしいです。MIGROSは物価の高いスイスの中では、比較的頑張っていて(ナショナルブランドのコピー商品がたくさんあって)お気に入りです。ちなみにUMAGURUMAさんが書かれていたリベッラ(Rivella)のコピー商品はミベッラ(Mivella)って言うのですよ。
by 福ちゃんat Zurich (2005-12-19 08:08) 

hsba

福ちゃんat Zurichさん、こんにちは。チューリヒは確かに物価は高かったけど、町並みも湖や景観もきれいで、いろいろ充実していてホントに良い街だなと思いました。湖の水がきれいなので驚きました。あと、出会った人にも恵まれましたね。このスケールでここまで洗練された暮らしやすそうな街は日本にはないかも。また訪れたいと思っています。
by hsba (2005-12-22 11:56) 

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