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ジャガイモ15キロ/食文化/マン盆栽 [食事]

気がついたら、あっという間に秋景色になっていた。

今日はシュツットガルト市のカルチャーナイトの日で、ぼくも市内にあるアカデミー所有のスペースで約15キロのマッシュポテトで雪山のジオラマをつくった。一晩だけのイベントだから、皆で食べて、最後はなくなるモノをつくろうと思い、手に入りやすいジャガイモを使うことにした。ポテトの雪山はずいぶん前に引っ越しパーティーで小型のモノをつくったことがある。今回もこれといって特に深い制作意図はなかったのだが、みんなはドイツの食べ物に対する外国人の印象を表現したものと勝手に読み取ってくれた。ディレクターからは「ぼくはフランス人だから君の気持ちはよく分かるよ」と言われたり……。ドイツの料理は、量が多くて、ジャガイモがたくさんで、特にラテンの国から来た人には「つらい食生活」の象徴のようなものらしい。実際はそんなにマズくはない。ただし一皿の量は日本の3人前くらいある。これは多過ぎだ。全部食べる人もいるが、食べ切れず残す人も多い。今回のポテトはお酒のおつまみに食べてもらうと思って、しっかり味付けしたし、皿と電気オーブンと各種ソースを用意しておいた。けど、残念ながら誰も手を付けない。仕方がないので自分で少しだけ食べた。このままでは15キロのジャガイモが捨てられることになりそうだ。少々、罪悪感。深夜になってみんな酔っぱらうと食べてもらえるかも知れない。実際、ドイツのジャガイモはとてもおいしい。北海道生まれのぼくがそう思う。

ぼくが会場を出た頃には、こんな感じになっていた。知らないうちにローズマリーの木が生えている。ローストしたジャガイモとローズマリーは相性が良い。


第二次大戦中、フランスで暮らしていたフランソワーズ・モレシャンさんは、敵対国のドイツ人を、まわりの大人が「ジャガイモばかり食べる人」と小バカにしているのを見た。戦争が終わると、ドイツ人もまた「フランス人はバゲットばかり食べている」と見下していたことを知る。その時、もし、お互いがそれぞれの食文化を認め合い、理解し合えれば、食べ物が違うだけでバカにし合うようなことはなかっただろうと思ったそうだ。これがモレシャンさんが食(特に食の異文化交流)に関心を持つようになったきっかけだと、取材の席で話をうかがったことがある。
ドイツ人の中には、あんこや羊羹を「小豆が甘いのは気持ち悪い」と言う人がいる。一方、ドイツのスーパーで売っている「ミルヒライス」という、甘い牛乳で炊いたお粥のような食べ物(プリンやヨーグルトのコーナーで売られている)は苦手だという日本人もいた。実際、海外で出版されたお米のレシピ集に載っている料理は、ほとんどが甘いおやつかサラダだ。昔「世界の料理ショー」という番組で、進行役のグラハム・カーが、ご飯を炊く時に沸騰した鍋にぱらぱらとお米を入れて「茹でた」のに驚いたことがある。「こうすると日本のライスみたいにふにゃふにゃにならないんだよ」的なコメント付きだった。国粋主義者ならずとも「おいおい」とツッコミを入れたくなる瞬間だ。お米の炊き方もいろいろあることを知ったのは最近だった。
パリのエピスリー「DA ROSA」(http://www.darosa.fr/)で食べた、「ミルヒライス」のようなスイーツ「リゾオゥレ」は、洗練された味でとても美味しかった。「DA ROSA」には、すごくきれいな日本人のスタッフもいた。チョコレートは絶品。このお店は有名レストランへの食材卸売をしている方が経営しているらしい。いずれにしても、食材としてのお米は奥が深い。かく言う自分は、白いご飯を汁物で汚すのが嫌いだ。飯碗は白飯を食べた後に、そのまま湯のみに使えるくらいキレイなのが望ましいと思う。もちろん例外もあるけど。

ポテトのジオラマに鉄道模型のフィギュアを使うのは、パラダイス山元さんの「マン盆栽」と一緒なので、サル真似したみたいで引け目を感じてしまう。ドイツではケーキの飾り付けにフィギュアを使うことがあるらしい。玩具店に行くといろんな種類のフィギュアがあって、日本では見たことがない「セクシーシリーズ」も売っている。箱は目隠しされていて中味が見えない。「オフィス」「公園のベンチ」「ベッド」の3シーンがあるようだ。おそらく(コンビニには置かれない)エロ本並みにSEXYなのだと思われる。山元さんはご存知だろうか。

ザ・マン盆栽

ザ・マン盆栽

  • 作者: パラダイス山元
  • 出版社/メーカー: 文芸春秋
  • 発売日: 2002/01
  • メディア: 文庫


ザ・マン盆栽百景

ザ・マン盆栽百景

  • 作者: パラダイス山元
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2002/12
  • メディア: 単行本


贈る!マン盆栽ポストカード

贈る!マン盆栽ポストカード

  • 作者: パラダイス山元
  • 出版社/メーカー: 新風舎
  • 発売日: 2004/11
  • メディア: 文庫



前に記事(http://blog.so-net.ne.jp/hashiba-in-stuttgart/2005-04-02)の中で触れた、アーティスト、デザイナーの若山和央さんの作品を見ることができるサイトを見つけた。ご自身による作品の解説もある。ぜひ見てください。http://www016.upp.so-net.ne.jp/LUZ-LIWS/


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