西新宿01 [デザイン/建築]
西新宿の高層ビルは地面から勝手に生えてきたように、ランダムな方向を向いている。グリッド上に整列するマンハッタンの摩天楼(実際に見たことがないのだけど、本当にそうなんですか)と比べて、西新宿の高層ビルには計画がないと非難していた人もいた。日本は地主が狭い了見で好き勝手につくるからビルの向きもバラバラになるのだ、都市を巨視的に捉える視点がないのだ、とその人は言う。でもぼくは、今の西新宿のビルはなかなか絶妙な配置だと思っている。計画してできる風景ではない。畑の野菜じゃなくて野草。これこそピクチャレスク。ビルが整列していなくてホントに良かった。もっと寒々しかっただろう。
千駄ヶ谷から首都高速の新宿出口に向かう途中、数秒間、西新宿ビル群が一望できる時がある。高速道路は緩やかにカーブして、ランダムなビルの重なりが不規則に少しずつずれてスカイラインがどんどん変化していく。この数秒の風景を、空港からの帰りのリムジンバスの窓から眺めるのが好きだ。夕暮れ時に西日にキラキラ輝くときなんか最高だ。朝も夜も悪くない。ビルのキャラ立ちもいい。空にヘリコプターが2機くらい飛び交っていたら完璧。子どもの頃、描いた未来都市の絵のようだ。バスの中でぼくはいつも、未来の町に向かっているのだと思う。
新宿駅西口の上の小田急と京王の百貨店の建物や、西口広場の噴水や彫刻もいい。西新宿の再開発を改めて評価する機会があればいいのにと思う。ホテルだって西新宿にあるホテルが好きだったりする。バーも京王プラザのポールスターがいい。ここは夜よりも、夕焼けがキレイな日暮れ時が良いと思う。そんな時間からお酒を飲める人ってそういないと思うけど。少しざわついている時のブリアンもいい。前者は剣持勇、後者は渡辺力さんのデザイン。どちらも名店だ。
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