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占い [生活雑感]

「占い」って信じるかと言われると、占いの言葉に合わせて従順に暮らす事はないと思うのだが、実際にはいろいろと役に立っているので、雑誌や電車内テレビ画面や屋外の表示モニターなど、いろんなところで目にする「占い」はとりあえず読むことにしている。神社に行けばとりあえず御神籤を引く。どんなふうに役に立っているかというと、「もうアタマにきた! 今日こそはっきり言ってやる」みたいな気分で仕事に向かう電車の中で、たまたま目にした星占いに「今日はイライラしがちなので注意。人を傷つけますよ」みたいなことが書いてあって、「あ、ちょっと冷静にならないと」と気持ちを切り替え、その後の仕事がうまく進んだり、飲み屋で愚痴を言いそうになった時に、「陰口はあなたの信頼を奪います」という占いが思い出されて、人に嫌な思いをさせずに済んだり。こんなふうに、助かったことが何度もある。いずれもあまりに真っ当過ぎる「当たり前」の言葉で、標語だったら読み過ごししまうのだろうが、占いになると自分のこととして読んでしまう。占いは自分が置かれている状況を、さまざまな現象で照らし合わせて客観的に語ってくれるもので、それが当たっているかどうかはあまり問題じゃなくて、独善的になったり視野狭窄になりがちな時に、ちょっと違う視点を提供してくれるのが良いところだと思う。人の言葉や忠告だと、時には反感を覚え、素直に聞けない状況もあると思うのだが、その点、占いや御神籤は誰の言葉でもないし、うまくできた仕組みだなと思うわけだ。

で、今週始めの星占いで、週の後半は健康に注意と書いてあって、それなりに養生していたつもりが、ぎっくり腰と夏風邪という最悪のコンビネーションで押し寄せてきた。でも絶対に外せない打ち合わせがいくつかあり、まさに汗と涙で動き回り、こういう運命だったのかなと少々へこたれていた。とりあえず一晩ぐっすり寝ると、風邪はほとんど良くなっていて、腰痛もコルセットを着けると普通に動けるようになった。腰痛と仕事でベランダの鉢植えの水やりが億劫になり、2日間放っておいたら、葉がすっかりしおれていて、慌てて小鍋に水を汲んで鉢に注ぎ込む。すると1時間も経たないうちに葉や茎がしゃんとしてくる。このことも数日前に熊野神社で読んだ御神籤の御言葉に書いてあったような気がして、なんだか不思議だ。近所の神社では、熊野神社も鳴子天神も御神籤は自動販売機になっている。投入口に100円を入れると「ひゃ〜ん」と不自然な雅楽のテープが流れて、神籤が一巻きぽとりと落ちてくる。熊野神社ではなぜか二つ出てきたことがあり、どちらを読んだら良いものか、無人の境内で一人で悩んだりした。自販機は正直あまりありがたみがない。これでは当たり付きの缶コーヒー自販機と一緒だと思わないわけではないが、それでも神籤を開くと何となく今の自分の境遇に近いことが書いてあるような気がするものだ。ちなみにぼくは、学業とか転居とか、待ち人が来るとか来ないとか、相場とか出産とか、細かくジャンル分けされたほうの御言葉にはあまり興味がない。

昔、池袋の辻占に手相を読んでもらったことがある。その時は、この占い師はどうして自分のことがこんなによく分かるのだろうと感心して、数日後、同じ辻占に悩める友人を連れていった。すると呆れたことに、その占い師は、ぼくの友人にも自分に言ったこととまったく同じことを友人に伝えていたのだ。たぶん同じ世代の人には同じことを言うことにしているのだろう。しかし、その友人が興奮して「橋場、あの占い師はスゴイよ。自分が思っていること全部言い当ててくれた」と言われ、とても「おまえに言ったこととぼくに言ったことは同じだったよ」とは言えなかった。それでぼくは、人の望みや悩み、野望や心配事は、人によってあまり違いがないんだなと思ったわけ。たぶん、「もうアタマにきた! 今日こそはっきり言ってやる」とぼくがいきり立っていた時、同じ電車の中に何人かは同じことを考えてイライラしている人がいて、その何人かは、電車のモニターに映し出された星占いを読んで冷静を取り戻していたのだ。でも中には星座の忠告が目に入らず、そのまま仕事に向かい、「もうアタマにきた! ガマンならない!」って、会議の席で叫ぶ人もいて、それはそれで仕事がうまく進んだりして。占いは意味ある偶然みたいなもので、偶然から出来事が始まる事はたくさんある。偶然、道路の石に躓いて、転ばない人もいれば、転んで落ちている100円玉を拾う人もいるし、素敵な人に助けられるかも知れないし、当たりどころが悪くて死んじゃう人もいる。人を躓かせる石よりは、占いは優しい偶然ではないかと思う。

誕生日大全

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  • 作者: サッフィ クロフォード, ジェラルディン サリヴァン
  • 出版社/メーカー: 主婦の友社
  • 発売日: 2005/11
  • メディア: 単行本



誕生日事典

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  • 作者: ゲイリー ゴールドシュナイダー, ユースト エルファーズ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



相性事典

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  • 作者: ゲイリー ゴールドシュナイダー, ユースト エルファーズ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2001/12
  • メディア: 単行本



易経〈上〉

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1969/01
  • メディア: 文庫



易経 下    岩波文庫 青 201-2

易経 下  岩波文庫 青 201-2

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1969/01
  • メディア: 文庫



高い城の男

高い城の男

  • 作者: フィリップ K.ディック
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1984/07
  • メディア: 文庫




「ブルータス」のアノニマスデザイン特集は面白かったけど、ああいう特集は100人読めば100人、何かひとこと文句を言いたくなる類いのモノで、ぼくもご他聞に漏れず「なんでこれが出てないの!?」という不満が若干あった。ちなみにぼくの「なんでこれが……」は、スコッチテープのフォルダーと広辞苑の装幀と文字組、カメラの三脚、あとは極細直管蛍光灯、クスリのカプセル……など。でも長くなるのでまた今度。さらなる疑問は、どうしてあの特集は「CASAブルータス」じゃなくて「ブルータス」だったのだろう。
AXISであった「スーパーノーマル展」はぼくにはあまり面白くなかった。深沢、ジャスパーの両氏だけじゃなく、ほかのデザイナーが選ぶ「スーパーノーマル展」も見てみたい。シリーズ化すれば良いのに。


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c.ito

ずいぶん前に占いを生業とする人に聞いたところによると、星占いというのは人類何千年か分の統計学なんだそうです。
そういわれると妙に堂々と信じたくなっちゃう不思議。

占い本リストの最後に「高い城の男」(笑)。
これ読むと確かに、何か理性で説明できない宇宙の偶然の力で生かされている!って気になって、私も岩波文庫の「易経」を思わず買っちゃったんだけど
読むのが面倒になってそのまま放ったらかしになってしまったのも、やはり運命的な必然なのでしょうか…。
by c.ito (2006-08-20 20:51) 

hsba

itoさん、どうも。ぼくも「高い城の男」を読んで、すぐに「易経」を買ったけど、そのまま放ったらかしです。たぶん同じような人はたくさんいるんじゃないっすかね。運命的です。
by hsba (2006-08-20 21:13) 

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