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ウィーン/Urania Sternwarte [デザイン/建築]

東京から訪れた友人と一緒にウィーンに旅行に出かけた。シュツットガルトからニュルンベルクへ。さらにドナウ川に沿って電車で約5時間。ウィーンはマイナス2度と真冬の寒さだった。雪が降り、氷結した歩道に何度か足を取られそうになる。ウィーンには見たい建築がたくさんある。とりあえず最初に見に行ったのはホテルから近いドナウ運河脇に建つ「ウラニア天文台 Urania Sternwarte」。設計者はアールヌーヴォーの建築で高名なマックス・ファビアーノ Max Fabiani。1865年に隣国スロヴェニアのオーストリア国境に近い街に生まれ、ウィーンのSpezialschule in the Akademie der Bildenden Künsteでオットー・ワグナー Otto Wagnerに建築を学んだ。建物は現在は映画館とパペットシアターとして使われている。不思議な透明感が感じられる建築だった。建築のスカイラインが、奥行き感のない平坦なグレーの空に溶け込む。青空だと別な印象なんだろうな。かつてヒトラーの肖像が掲げられた時代もあったそうだ。この建築は今年再公開されたばかり。ウラニアとはギリシャ神話の天文の女神の名前。



   http://www.barurania.com/

この建物内、運河に面して設けられたカフェ&バーでコーヒーを飲む。
この近隣には超有名なオットー・ワグナーの「郵便貯金局 Postparkasse」、「応用美術館MAK」、80年代を席巻した脱構築建築家ユニットのコープ・ヒンメルブラウ Coop Himmelblauが手掛けたルーフトップリモデリング……など、デザイン&建築名所が点在している。というか、ウィーンはどこに行っても建築名所だらけ。
コープ・ヒンメルブラウのルーフトップモデリングを真下から見るとこんな感じ。触覚みたいな部分だけが見える。ちょっと離れると辛うじて様子が分かる。

このルーフトップリモデリングを見て、ウィーンはつくづく懐が深い街だと感じた。みんな撮影するポイントが同じらしく、そこだけ足下の雪が踏み固められている。なんだか珍獣を見た気分だった。このあとラーメン店に入り、久しぶりに塩ラーメンを食べる。つづく。


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コメント 4

Beep

こんにちは
ウィーン行って来られたようですね。
建築も美術も音楽も、それらが渾然一体となってウィーンをつくってる。
そんな気がします。
ボクは、街の大きさも独自の個性を持ちえる最小単位のような気がしました。
逆に言えば、街の大きさがあの街の個性をある部分決定付けているんじゃないか?
そんなフウにも思うのです。
続き楽しみにしてます。
by Beep (2005-11-27 23:14) 

hsba

確かにウィーンは、パリやベルリン、東京みたいに果てしなく町並みが続くという感じではなくて、地図上でも身体感覚的ちゃんと把握できるサイズの街でした。そのサイズにさまざまな物事が高密度に詰まっている感じです。なぜかナポリの街を思い出してしまいました。町並みもキレイで、古いモノを意固地に守ろうとするのではなく、新旧のバランスの良さも異邦人の緊張をほぐしてくれます。新しい建物を設計する建築家の覚悟も違うのでしょう。急ぎ足のツアーでもそれなりに楽しめて、それなりに納得できる。でも、長く滞在すると底が見えない時間の井戸を下るような経験もするのではないかと思いました。とても魅力的な街です。
by hsba (2005-11-29 09:10) 

yoku

ウイーンといえば、昔パリからミュンフェン経由で
厳冬に車をぶっ飛ばした経験があります。
今思えば、チエーン無しの無鉄砲さ。しかし、モーツアルトの
歌劇フィガロの結婚を鑑賞しながらのシャーンペーン
が美味しかったのを思い出します。寒がりですが、
キーンとする寒さもいいですね。
ところで、ウラニア天文台。アールヌーボーですか、
曲線がいいですね。私は、中世の建築に興味を
覚えるもの(バロック以前の)ですが、アールヌーボー
建築、家具なども魅力を感じています。続編を期待します。
ところで、ドイツの政治情勢を身近に見られて
いかがですか?CDUとSPDの何十年ぶり
かの大連立。日本の与党の圧倒的勝利も問題が
ありますが、大連立も今後混乱が予想されますが。
良かったら教えてください。
by yoku (2005-12-01 14:37) 

hsba

yokuさん、はじめまして。パリからウィーンまでの冬のドライブとは……すごい経験です。それでも頑張ればクルマでどこでも行けるのがヨーロッパのスゴさです。みんなけっこう国境を越えてどんどん移動していますよね。あの天文台はまさにドイツ・オーストリア版アールヌーボーですね。ユーゲントシュティールと言われる様式です。あの時代、ウィ−ン工房の食器がぼくの好みに合っています。政治の件ですが、ぼくがいるアカデミーは陸の孤島みたいなところで、ドイツ人も少ないのでほとんど話題に上りませんでした。むしろ国外の政治の話のほうが熱いです。未だに元東ドイツ国民が大企業の経営者になると「ニュース」になるようで、今回も水面下ではいろいろあったのだろうと下世話に想像するくらいです。
by hsba (2005-12-01 21:58) 

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