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ドイツのビール/ソーセージの焼き方 [ドイツ/シュツットガルト]

シュツットガルトの街外れ(とは言ってもほとんど中心部ですが)に、DINKEL ACKERという商標の中規模のビール工場がある。風向きによって、この工場のビール醸造の香りが市街地まで漂うこともあった。この匂いを何と表現したら良いのか、野菜を茹でた湯気のような、藁のような、なぜか琴線に触れる懐かしい香り。簡単に説明するなら、アサヒビールから発売されているエビオス錠の匂い(アサヒビールの社員食堂ではエビオス錠がレジ脇の皿に盛られていて取り放題らしい)。この工場のそばを通って酵母の匂いを嗅いだだけで、周囲の空気もぼんやり温かいような気がしてくる。工場は、出隅のレンガの控えめな装飾とサッシュの意匠が、後期のドイツ表現主義建築を連想させる。部屋に戻ってシュツットガルトの建築ガイドブックを見たけど、この工場は採り上げられていなかった。ドイツではビールのことを「流れるパン」とも言うらしい。
ドイツに来てから、昼間、一人で、カフェでもビールを飲むようになった。いちばんよく飲むのはBECK'S。夏場は小麦のビール、ヴァイツェンビア Weizenbierをよく注文した。不思議なことにいくら飲んでも悪酔いしない。それに美味しい。友人はカリフォルニアでコカコーラを飲んで「コーラってこんなに美味しかったんだ!」と感動したと言っていた。北海道で飲む牛乳は美味しかったし、ナポリで飲んだエスプレッソ(砂糖をたくさん)の奥深い味にも驚いた。飲み物の味はそれを飲む環境に左右されるのではないかと思う。

ドイツ ビールへの旅

ドイツ ビールへの旅

  • 作者: 長尾 伸
  • 出版社/メーカー: 郁文堂
  • 発売日: 2003/10
  • メディア: 単行本


一八世紀ドイツビールの博物誌―完全なるビール醸造家

一八世紀ドイツビールの博物誌―完全なるビール醸造家

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 関西大学出版部
  • 発売日: 2005/04
  • メディア: 新書


美味しんぼ ビールの友に本物のハム・ソーセージ編

美味しんぼ ビールの友に本物のハム・ソーセージ編

  • 作者: 雁屋 哲
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2001/07
  • メディア: 単行本


「地球の歩き方」によると、ドイツでは『ビールはビール工場の煙突の影が落ちる範囲内で飲むべきもの』であったと書かれている。やはり地元で飲むのがいちばんなのだ。ただし、これはまだ輸送技術が発達していなかった頃の話だ。当時は、街中どこも煙突の影に敷かれるくらいビール醸造所がたくさんあったのだろう。ビアホールでミネラルウォーターを頼んだら「石けんと洗面器もいる?」と言われた。もちろん冗談。確かに寿司屋でラーメンを注文すればそんな皮肉も言われるはずだ。寿司屋にラーメンはないか。前に吉野家で牛丼を注文しないで、「ビール2本とお新香ちょうだい」という大人な客を見たことがある。それはともかく、ドイツのハムやソーセージは日本より塩辛いので、これがビールによく合う。しかし確実に、カロリー、プリン体、塩分の摂り過ぎ。「ソフィーの美味しい生活」というウィーン在住の方のブログの中で、ニュルンベルガー・ソーセージの食べ方について触れている記事があった。
http://blogs.yahoo.co.jp/sophieinwien/13336141.html?p=1&pm=l
ソフィーさんに倣って、ぼくも25分くらい弱火のフライパンでちりちり焼いて食べてみることに。いつもは油を少したらして強火で一気に焼いていたのだが、確かに油なしでも15分を過ぎるとソーセージの中から油がじわじわしみ出してくる。こうして焼いたニュルンベルガーはいつもよりずっと香ばしくて本当に美味しかった。それを嬉々として朝食に食べた後、キッチンで冷えたフライパンを覗くと、白いラード状の油がフライパン一面にびっしり固まり付いている。ソーセージ2本の中にこれ以上の油が入っていたのかと思うと……絶句。明らかに日本のソーセージとは違う。弱火で気長に焼くのは、美味しいだけではなく、ソーセージの余計な油を落とすのにも効果的だった。それにしてもハイカロリーの食べ物はどうして美味しいのだろう。

今日はアカデミーのマンスリーディナーの日で、10月から来た新しいフェローも揃い、いつもの2倍以上の食卓が並ぶ盛況ぶりだった。新しいフェローといろんな話ができて楽しかった。メニューはトマトのスープ、チキンソテーにベーコン風味のグリーンピースとライス添え、洋梨のシャーベット。「クリームを使い過ぎではないだろうか」と言う人もいたけど、ぼくも同感。スープにもデザートにも大量のフレッシュクリームが添えられていた。ワインを3杯飲んで、ビールを2本飲んで、最後はシュナップスまで飲んだ。でもほとんど酔わない。不思議だ。アカデミーのディレクターと少しだけ話をしたのだが、12月に日本の雑誌エディトリアルデザインの展覧会を開催するかも知れない。もしくはエディトリアルフォトグラフィーの展覧会。編集者だったぼくにできそうな企画を考えると、この辺りが身の丈に合っていると思う。あと、ぼくはまだアカデミーのプロジェクトマネーをほとんど使っていないので。

ウェブを見ていたら、新日本プロレスが経営危機? というニュースがあったけど本当ですか? 阪神タイガースはなかなか調子に乗れないみたいだ。ぼくは大洋ホエールズ時代からの、横浜ベイスターズのファンだけど、TBSに買収されても球団名が変わらなかったことが嬉しかった。でも、もしUSENに売却されたら、球団名が横浜USENベイスターズになりそうな気がする。そうなりませんように……。


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コメント 6

はじめまして。ビール大好きです。ドイツに住んでいた事があり、懐かしかったのでお邪魔しました。また遊びに来ます。
by (2005-10-27 01:35) 

ソフィー

ソーセージの焼き方を参考にしてくださって、しかも美味しく召し上がっていただけたようで嬉しいです。
by ソフィー (2005-10-27 02:35) 

南雲しのぶ

先日は、拙ブログにコメントをいただきありがとうございました。
ビールについて書いたのでTBさせていただきました。
よろしければクロスしていただければ幸いです。
大のビール党の私としては本場ドイツのビールをたらふく飲んでみたいという野望があります。
日本に輸入されているのを飲んでも今イチ、本物感がなくって・・・。
by 南雲しのぶ (2005-10-27 16:36) 

hsba

あやてむさん、初めまして。ドイツはどちらに住んでいたんですか? ドイツで暮らすと、ジャガイモとビールが好きになるみたいです。ぼくもそうで、体重増加が深刻です。

ソフィーさん、コメントありがとうございます。ソフィーさんの記事の通りに焼いてみたら、ソーセージ、すごく美味しかったです。これまでとぜんぜん違う味わい。さすがです。でも小さくても1本100kcal以上はありそうですね。それを考えると……。

南雲さん、こんにちは。先日は捻くれたコメント失礼しました。ぼくの後に書いていた方が至極まっとうだったので恥ずかしかったです。
ビールは輸送が難しいと言われているようなので、確かに日本では日本のビールを飲んだほうがおいしいかもしれません。ドイツでもハイネケンを飲んでいる人はあまり見かけませんし、アメリカのビールは見た事すらないです。ぜひ、西ヨーロッパ、ビールの旅を企画してください。ドイツのビールは個性豊かでどれも美味しいですよ。あ、あと、おつまみも美味しいです。ドイツ料理はビールのためにあるという感じがします。
by hsba (2005-10-28 07:19) 

私は、マンハイムとワイマールに住んでいました。
シュツットガルトは、観光でも友人訪問でも何度も行った事あります!
ああ、旨ドイツビール飲みたいなぁ!!
by (2005-10-28 23:48) 

hsba

ワイマールと聞くとバウハウスを思い出してしまいます。あと、マンハイムは電車で通っただけですね。シュツットガルトから30分くらいでしょうか。ドイツ国内の街はあまり出歩いていないので、残り滞在期間の間にできるだけ旅行してみたい。ドイツ人の中にも「ビールの飲み過ぎは太るから気をつけてる」って言った人がいた。でも痛風の人には会ったことないです。
by hsba (2005-11-01 00:52) 

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