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おっさんの109「ニューしんばしビル」 [その他]

新橋で打ち合わせがあって、約束の時間より早く到着したので久しぶりに「ニューしんばしビル」を素見した。




新橋駅烏森口のSL広場では小雨の中、古物市をやっててそれなりに人が多い。その客層の98%はいわゆる“おっさん”(自分もおっさんなんだが)。それもガチなおっさんばかり。マグロで言えばホンマグロ。革靴とジャケット着用率だけは異常に高いのにフォーマルな香りはナッシング。その代わり仁丹の匂いがする。気のせいか前歯が欠けたオヤジも多かった。喫煙率も高い。ジャケットに野球帽って新橋スタイルなのかな。渋谷のセンター街に、昔“チーマー”ってのが生息していたんだが、そのもう一つの進化系を発見した感じだ。ガンジャ臭の代わりが仁丹なんだね。 広場では選挙演説も始まった。声が大きいほうが勝つ、なんて思ってるわけじゃないよね。なんだか暗鬱な気分が漂う。

「ニューしんばしビル」は天然の昭和が保存されている有名な複合ビルだ。オヤジの109。戦後の駅前再開発の最初のプロジェクトが新橋だった。昔、NHKアーカイブで新橋駅前再開発のドキュメンタリーを観たことがある。それが「新橋ビル」だったのか「ニューしんばしビル」だったか、記憶がちょっと怪しい。「ニューしんばしビル」は、300軒以上の小さな店舗が密集していた街区を更地にして、東京都が区分所有型複合ビルとして建設したもの。竣工は1971年。そのため商業エリアの各フロアは超小割になっていて、ちっちゃい店がぎっしり詰まってる。元闇市の“地権者”がそのままビルに入居したようなイメージだ。とはいえ飲食店には名店も多い(らしい)。地下1階に80軒の飲食店があるという話だが、確かにテナントのコマ数は79コマあった。実際は50店くらいじゃないかな。1階は金券ショップとバッタ屋がひしめいていて、「高級腕時計1000円」という、何が高級なんだかまったく分からない値札が、どう見ても「書院」とか「オアシス」とか、ワープロで打ち出したギザギザ文字なんだよ。



2階と地下には小さなゲーセンが何軒もある。昔のゲームセンターってこんな感じだった。店内は薄暗くて、座席はタバコの焼けこげのあるビニルレザーの丸椅子、時代物のブラウン管はヤニだらけでセピア色になっている。懐かしいゲーム音楽に誘われて店内を覗くと、テトリス、コラムス、ハットリスのセガ系落ち物パズルゲームとか、和了するとエロビデオが流れるコンピュータ麻雀とか、懐かしいゲーム機がそのまま残っていて、50歳くらいのネクタイ緩めたLEONオヤジがタバコくわえてジョイスティックを握っていた。 子どもの姿がない高齢者ゲーセン。サイバーパンクだ。


時々「このオバちゃん、どこでこの服買ったんだろー」って思う無国籍な紫系ファッションのマダムがたまにいるけど「ああ、こういうとこで買ってんのな」って膝を打つような“ブティック”も店を構えている。チラっと値札でも見ようものなら奥から強烈な香水臭の、女なのに女装しているオバさんが飛び出してきて、「これ人気あるのよー」なんてセールストークするんだが、接客する相手間違えてないか?

2階には“マッサージ通り”と呼びたいスゴイ通路があって、ピカピカした行灯サインが通路にがんがん迫り出していてどう見ても消防法違反だ。足裏,整体、按摩はもちろん、男も女もパンツ脱ぐような大人のマッサージまで、世間で“マッサージ”と名の付くものは一通りある。日本語が怪しい姐さんが「おにーさんマッサージいかがー」って、ほとんど夜の大久保裏通りが再現されていた。そのマッサージの看板の間に「フリーローン500万円。すぐに振り込み可能」なんて豪気な金融もあったりして、まあ、マッサージに限らず、金融サービスだけ見ても、郵便局、都市銀行のATMから信販会社、サラ金、街金、両替商、質屋まで、実に幅広く見事なテナント構成なんだよな、ニューしんばしビルは。空き家が目立つのは寂しいけど。



まあ、こんな「ニューしんばしビル」ですが、個人的には居酒屋ワンダーランドからすこし外れた4階にある居酒屋「粋曜日」がお薦め。板前割烹と言うよりはオープンキッチンで、カウンターに座れば板前さんが丁寧に料理している様子も見える。キッチンが清潔で気持ちが良い。料理もおいしい。イチゴソースで飾られたカツサンドはホントにウマいです。
1階のスタンド食堂「むさし」のナポリタンスパゲッティは、期待を裏切らないホンモノの“ナポリタン”。昔のデパートのお好み食堂を思い出させる。10席もない小さなお店なのにメニューは豊富で、カウンター脇の狭い厨房であの数のメニューをこなすというのも信じられない。ちなみにほとんどの料理は650円。カレーだけ450円。行ったことはないけど牛カツの「おか田」や寿司「新橋鶴八」はフツーに知られた人気店だ。このほか、喫茶店ファンにはおなじみの昭和グランド喫茶が何軒かあるそうです。喫茶富士とかカトレアとか。

こんなポスターが店内にあるのもスゴイんじゃない。
そのうちここも再開発されて「新橋ヒルズ」とかになっちゃうんだろうか。
汐留駅までの帰り道、仕事中のタレントのMEGUMIを見かけたけど、思っていた以上に美人なのでかなり驚いた。でも、浮世離れした感じはなくて意外に普通の人だった。でも、胸が大きいとか、バストが豊かだとか、おっぱいがでかいとか(みんな同じか)、そんなことどうでも良くなるくらい素敵な女性でした。

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コメント 2

Beep

>女なのに女装しているオバさんが...
橋場さん、面白すぎ!
ヨーロッパでも東欧には、けっこう多いですよね。
バストなんか2メートル、まではないけど、とにかく巨大で
ところが鼻の下には明らかにヒゲがはえてるんだ、ほんとに。

デザインの話もイイけど、こう云うノリの文章面白いですね。
それにしても、このあいだまでドイツに居た人とは想像できないディープさ!
by Beep (2007-07-13 17:10) 

hsba

Beepさん、どうも。
ドイツにいた頃、ホントに巨大なオバさんの観光団を見かけたことありますが、東欧から来た方々だったんでしょうかね。アジアではあまり見かけないタイプです。それにしても東京は何でもアリですね。
by hsba (2007-07-14 03:00) 

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